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Revision 16 as of 2009-04-21 14:24:26

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Contents

  1. 最低限必要な環境
  2. インストール
    1. 「推奨パッケージ」も自動的にインストールされます
  3. アップグレード
    1. Intel D945マザーボードでシステムが起動しない
    2. ベータ版までのシステムでは/etc/fstabでLABEL=が使わている可能性があります
    3. アルファ版からアップグレードする場合、暗号化されたホームディレクトリの再暗号化が必要です
    4. Ubuntu 8.10からアップグレードする場合はliloがインストールされているでしょう
    5. モジュールオプションを使った無線帯域の地域制限の設定はサポートされなくなりました
    6. Kubuntuをアップグレードする場合、Network Managementアプレットを追加する必要があります
    7. KubuntuのNetwork ManagementアプレットはWPA2ネットワークに接続できません
    8. XorgのCtrl-Alt-Backspaceは標準で無効化されています
    9. アップデートの通知方法が変更されました
  4. その他の不具合
    1. Intelグラフィックカードの性能が悪くなっています
    2. Intelグラフィックカードで表示がフリーズする
    3. ext4ファイルシステムからファイルを削除するときLock-upする可能性があります
    4. ext4に切り替える場合は手動でgrubのアップデートが必要です
    5. Wubiがすでに存在する"ubuntu"ディレクトリを再利用し、アンインストール時に削除してしまう
    6. ARMアーキテクチャで偶発的に動作が止まる可能性がある

このリリースノートは、Ubuntu 9.04とその派生品に関する既知の不具合について記述しています。原文である英語版のリリースノートは次のページにあります: https://wiki.ubuntu.com/JauntyJackalope/ReleaseNotes

最低限必要な環境

Ubuntu 9.04では、動作に必要な最低限のメモリとして256MBを要求します。一部のコンピュータでは、グラフィックカードが利用するために、メインメモリの一部を自動的に消費していることに注意してください。もし最低限のメモリしか搭載していない場合、通常の環境に比べて、インストールに非常に時間がかかります。ただし、インストールが正常に完了すれば、利用する上ではあまり問題は起こりません。

メモリの少ないシステムではDesktop CDを用いてインストールする場合は、「コンピュータに変更を加えずにUbuntuを使ってみる」を選択するのではなく、「Ubuntuをインストールする」をメニューで選択し、インストーラーだけを動作させると良いでしょう。

インストール

「推奨パッケージ」も自動的にインストールされます

Debianポリシーマニュアルに基づいて(Debianポリシーマニュアルには「'Recommends' フィールドには、特別な場合でないかぎり一緒に使用されるパッケージが書かれます」とあります)、「Recommends:(推奨)」に記述されたパッケージを「Depends:(依存)」に書かれたものと同じようにインストールするよう、パッケージ管理システムの設定が変更されました。もし特定のパッケージでこの動作をさせたくない場合、「apt-get --no-install-recommends」を指定してください。また、常にインストールしないよう設定するのであれば、「/etc/apt/apt.conf」で「APT::Install-Recommends "false";」と設定してください。ただし、この設定を行うと、一部のプログラムでは期待される機能の一部が使えなくなることがあります。

(この変更はUbuntu 8.10で行われました)

アップグレード

Ubuntu 8.10のユーザは、Ubuntu 9.04へ自動化された便利な方法でアップグレードできます。より古いUbuntuを利用しているユーザは、まずはUbuntu 8.10へアップグレードを行ってから、9.04にアップグレードする必要があります。完全な手順は http://www.ubuntu.com/getubuntu/upgrading (日本語版: https://wiki.ubuntulinux.jp/UbuntuTips/Install/UpgradeHardy )で確認することができます。

Kubuntuのユーザは、Kubuntu 8.04からKubuntu 9.04へ直接アップグレードすることができます。この方法でアップグレードする場合、Kubuntu 8.10にアップグレードした際の問題点も適用されるので、Ubuntu 8.10のリリースノート日本語版)も確認したほうが良いでしょう。

Intel D945マザーボードでシステムが起動しない

Intel D945マザーボードでUbuntu 9.04を使っている場合、SATAハードドライブの検出が通常より遅くなると報告されています。この問題が発生すると、ブート中のシステムはinitramfsが提供するbusyboxシェルに落ちてしまい、"Gave up waiting for root device."というエラーメッセージが表示されるはずです。1〜2分待って、'exit'と入力しinitramfsのシェルを終了すると、通常と同じようにシステムが起動するでしょう。もしそれでも起動しない場合、もうしばらく待ってから、再度試してください。一度システムがうまく起動したら、/boot/grub/menu.lstファイルを開き、現在使っているカーネルの起動オプションにrootdelay=90を追加し、保存終了してください。(Bug 290153)

ベータ版までのシステムでは/etc/fstabでLABEL=が使わている可能性があります

Jaunty Alpha 5、Jaunty Alpha 6、またUbuntu 9.04のベータ版をインストールした環境では、ファイルシステムを識別するために/etc/fstab内にLABEL=の構文を使用していることがあります。これはUSBドライブのような別のディスクを追加した時、ラベルの衝突によって予期できない問題を発生させる可能性があります。意図的にラベルを使っているのでなければ、代わりにUniversally Unique Identifiers(UUIDs)の利用に切り替えることを推奨します。

例えば、あるファイルシステムが/etc/fstabLABEL=homeと指定されているのであれば、そのUUIDを以下の方法で確認することができます:

blkid -o value -s UUID -l -t LABEL=home

その後、LABEL=homeUUID=output(このoutputはblkidの出力結果です)に置き換えてください。

Ubuntu 9.04のリリース候補版か最終リリース版をインストールした環境であれば、この問題は発生しません。

アルファ版からアップグレードする場合、暗号化されたホームディレクトリの再暗号化が必要です

Jaunty AlphaのeCryptfsを過去に利用していた場合、暗号化されたファイルを再度暗号化する必要があるようです。これは、eCryptfsで暗号化されたファイルのヘッダに、任意のカーネルメモリを書き込んでしまう2.6.28カーネルの不具合が原因です。Jauntyのリリース候補版のカーネルであれば、この問題は修正されています。問題のあるカーネルを動かしているUbuntu eCryptfsユーザは、/usr/bin/ecryptfs-rewrite-fileコマンドを使用し、暗号化済みファイルの再暗号化を行ってください。詳しい情報についてはecryptfs-rewrite-file(1)Bug 345544を確認してください。

Ubuntu 8.10からアップグレードする場合はliloがインストールされているでしょう

Desktop CDからUbuntu 8.10をインストールした環境では、ブート時にgrubを利用するにも関わらず、grubと同様にliloパッケージも間違ってインストールされてしまいます。アップデート・マネージャを使ったアップグレードを行った時は、明らかに利用されていない場合、liloパッケージは削除されます。それ以外のアップグレード方法を使う場合で、GRUBブートローダしか使っていない場合は、liloパッケージを手動で削除することを推奨します。 Bug 314004

モジュールオプションを使った無線帯域の地域制限の設定はサポートされなくなりました

Ubuntu 9.04では、特定の地域ごとに利用可能な無線帯域を制限するために、無線の規制フレームワーク(CRDA)が有効になっています。これまでにお住まいの地域で利用できる特定のチャンネルのアクセスを許可するために、/etc/modprobe.d/optionsで以下のようなモジュールオプションを設定していた場合、無線機能が動作しないかもしれません(訳注:8.10のリリースノートでは、一部の無線ドライバを日本で使う場合、この設定を行うよう指示がありました):

  • options cfg80211 ieee80211_regdom=JP

Ubuntu 9.04へアップグレードする際は、このカーネルモジュールオプションを削除し、代わりにiw regコマンドを使ってください。

Kubuntuをアップグレードする場合、Network Managementアプレットを追加する必要があります

Kubuntu 8.10からアップグレードした場合、新しいNetwork Managementアプレットをパネルに手動で追加する必要があります。 (Bug 349066)

JauntyJackalope/ReleaseNotes/plasma-1.png

JauntyJackalope/ReleaseNotes/plasma-2.png

JauntyJackalope/ReleaseNotes/plasma-3.png

右下にあるPlasmaアイコンをクリックします

ウィジェットの追加(Add Widget)をクリックします

Network Managementをダブルクリックします

KubuntuのNetwork ManagementアプレットはWPA2ネットワークに接続できません

KubuntuのNetwork ManagementアプレットはWPA 2と一部のVPN設定に接続できません。回避策として、knetworkmanager(DVDで利用できます)やnetwork-manager-gnomeを利用してください。 Bug 339313

XorgのCtrl-Alt-Backspaceは標準で無効化されています

Xの再起動を強制的に行うCtrl-Alt-Backspaceキーの組み合わせは、偶発的のこのキーを押してしまい、誤って再起動してしまう問題を回避するために、標準状態では無効化されることになりました。この機能を利用したいユーザは、xorg.confで設定するか、dontzap --disableコマンドを実行して、有効化してください。

アップデートの通知方法が変更されました

Ubuntu 9.04から、従来のGNOMEパネルに通知アイコンを表示する方法ではなく、直接update-managerを起動する方法で、パッケージのアップデートを促すように変更されました。セキュリティアップデートについてはこれまで通り毎日通知されますが、セキュリティに関係ないアップデートについては週に一度の間隔で通知されます。

これまで通り、通知アイコンでアップデートの通知を受信したい場合は、以下のコマンドを使うことで前の設定に戻すことができます:

gconftool -s --type bool /apps/update-notifier/auto_launch false

その他の不具合

Intelグラフィックカードの性能が悪くなっています

Intelビデオチップセットのユーザによると、Ubuntu 8.10はそれまでと比べて性能が悪くなっているようです( bug 252094 )。問題のほとんどはUbuntu 9.04で解決していますが、一部まだ未解決のものがあります。

  • 一部は、Migration Heuristicに"greedy"オプションを与えることで、性能が改善するようです。これは、"sudo gedit /etc/X11/xorg.conf"を実行し、そのxorg.confファイルのDeviceセクションに、Option "MigrationHeuristic" "greedy"を追記すれば設定されます。

  • 別の方法として、新しい実験的なアクセラレーションアーキテクチャオプションである"DRI2/UXA"を使うと性能が大幅に改善する場合もあるということが、Intelグラフィックスのテストの結果わかっています。しかし、そのオプションは安定性に重度の問題があることもわかっています。"sudo gedit /etc/X11/xorg.conf"を実行し、そのxorg.confファイルのDeviceセクションに、Option "AccelMethod" "UXA"を追記すればUXAオプションを利用できます。安定性を重要視するユーザは、標準のアクセラレーション手法である"EXA"を利用し続けてください。

    Warning /!\ 一部の環境では、この設定によりグラフィカルなデスクトップ環境がまったく起動しないか、利用不可能な状態になってしまうかもしれません。その場合、レスキューモード(rescue mode)で起動するか、Ctrl+Alt+F2でコンソールモードにログインし、sudo nano /etc/X11/xorg.confを実行して、設定したUXAオプションを削除してください。

  • 上記の方法でも改善しなかった場合でも、古いバージョンのドライバを利用することで改善したという報告もあります。

Intelグラフィックカードで表示がフリーズする

Intelのビデオチップセットを使っていると、様々な条件下で表示がフリーズすると報告されています。(例えば、i945チップセットでサスペンドを行った数分後など bug 339091 )多くの場合、システム→設定→外観の設定からデスクトップ効果をオフにすることで問題が発生しなくなるようです。

デスクトップ効果をオフにした状態でも発生する場合、前節と同様、/etc/X11/xorg.confファイルのDeviceセクションに、Option "DRI" "off"を追記してみてください。これは、3Dアクセラレーションとデスクトップ効果の機能をオフにしますが、これによりサスペンドの動作の信頼性が向上し、その他のクラッシュするような多くの問題を回避できるようです。

これらのフリーズは、特にi965チップセットで発生します( bug 359392 )。このため、このチップセット上で今回のリリース版をインストールした場合、デスクトップ効果が無効化されています。9.04に対するアップデートでこの問題が修正されたら、その時にデスクトップ効果を再度有効にする予定です。

ext4ファイルシステムからファイルを削除するときLock-upする可能性があります

ext4ファイルシステムからファイルを削除したとき、カーネルでSoft Lock-upが発生するという事例が報告されています( bug 330824 )。この問題は現在調査中であり、場合によってはリリース後のアップデートによって修正されるかもしれません。問題の回避方法として、標準のext3ファイルシステムでインストールし、その後修正版が提供されたら、ext4へファイルシステムを変更するという方法があります(具体的な手順は、ext4のWikiをご覧ください)。

ext4に切り替える場合は手動でgrubのアップデートが必要です

/もしくは/bootのファイルシステムをext2やext3からext4に変更する場合(その手順については、ext4のWikiをご覧ください)、Ubuntu 9.04にアップグレードしたあとにgrub-installコマンドを実行してブートローダを再インストールする必要があります。これを行っていない場合、ブートセクタにインストールされているGRUBのバージョンでは、ext4ファイルシステムからカーネルを読み込むことができず、システムの起動に失敗するでしょう。

Wubiがすでに存在する"ubuntu"ディレクトリを再利用し、アンインストール時に削除してしまう

もし、指定したドライブに"ubuntu"という名前のディレクトリが既に存在している場合、Windows上でWubiを使ったインストール時にこのディレクトリを再利用し、アンインストール時にそのディレクトリを全て削除してしまいます( 364166 )。これは"ubuntu"ディレクトリに元々あるファイルを見失ってしまうためです。Wubiインストールの実行前に、"ubuntu"という名前の既存のディレクトリを別の名前に変更してしておく事を推奨します。

ARMアーキテクチャで偶発的に動作が止まる可能性がある

ARM版では現在、システムコールのppoll()とpselect()をサポートしておらず、ブート時のルートファイルシステムのマウントに失敗する可能性があります。これはレースコンディションによる競合状態ですので、通常はリブートを行うことで問題を回避できます。システムコールを追加する作業は現在進行中で、リリース後ある程度経ってから、Ubuntu 9.04のカーネルのアップデートという形で提供されるでしょう。