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Lunar Lobster リリースノート

イントロダクション

Ubuntu 23.04 (Lunar Lobster) リリースノートは、Ubuntuそのそのフレーバーについて、全体像と既知の問題点に関する情報を提供します。

サポート期間

Ubuntu 23.04は2024年1月までの9ヶ月サポートされます。もしLong Term Support(長期サポート)版が必要な場合、Ubuntu 22.04 LTSを利用してください。

23.04の新機能

アップデートされたパッケージ

Linux kernel 🐧

Ubuntu 23.04は、多くの新しい機能を伴った新しいLinux Kernel 6.2とともに提供されます。

Ubuntu kernelの特筆すべき以下の機能が含まれます:

アップストリームkernelの特筆すべき以下の機能が含まれます:

systemd v252.5

Initシステムはsystemd v252.5に更新しました。個別の機能についての詳細な情報は、アップストリームのchangelogを参照してください。

ツールチェインの更新 🛠️

OpenJDK

デフォルトのJavaランタイムとJDKはOpenJDK v17に更新されました。Java 17は最新のLTSバージョンとなります。

.Net

.Net v7 (7.0.105)ランタイムと関連パッケージを追加しました。.Net v6パッケージは最新のマンスリーリリースである6.0.116に更新されました。

golang

go言語コンパイラは、最新のアップストリームの安定版であるv1.20に更新されました。

Rust

runcコンパイラはv1.67に更新し、cargoパッケージマネージャーは0.68に更新されました

Python

Pythonはv3.11に更新されました

debuginfod サービス

このサイクルでは、ebuginfod サービスを改善するため、多くの作業が行われました。

Ruby

Ruby 💎 はv3.0からv3.1に更新されました。詳細は以下のRubyセクションにあります。

Security強化 🔒

ca-certificatesパッケージがMozilla certificate authority bundle の バージョン 2.60 に更新されました。

Base System

Netplan v0.106

v0.106の詳細情報はこちら

Ubuntu Desktop

New Installer

GNOME 👣

Ubuntu font の更新

アプリケーションの更新

サブシステムの更新

新しい Active Directory 関連機能

Active Directory (AD) 統合機能は、Ubuntu Desktop のエンタープライズ機能としてもっとも有名なもののひとつです。Ubuntu Desktop 22.04 LTS では Active Directory 統合の段階を ADsys によって引き上げています。このクライアントは、完全な Group Policy のサポート と権限昇格を伴うスクリプト実行が可能です。

Ubuntu 23.04 では、enterprise proxyソフトウェアの制限ネットワーク共有を追加しています。この機能はUbuntu 22.04 LTS と 20.04 LTS に年内にバックポートされる予定ですが、23.04 では先行して利用できます。

Ubuntu Server

Apache2

AppArmor updates

二つの追加パッケージの AppArmor プロファイルが追加され、デフォルトで enforce モードで動作するようになりました: `rsyslog``isc-kea` です。

これまでは rsyslog には apparmor プロファイルが含まれていましたが、デフォルトでは無効にセットされていました。このプロファイルは精査・修正され、これまでよりもより動的に構成され、また、更新された rsyslog 設定にあわせたものになりました。たとえば、MySQL 用の rsyslog モジュールがインストールされている場合、新しいプロファイルではローカルの MySQL サーバーへの接続を許可するように動作します。

isc-kea にはこれまで AppArmor プロファイルは含まれていませんでしたが、今回追加され、また、デフォルトで enforce 動作するようになりました。

Cloud images

Cloud-init

cloud-init が 22.4 から 23.1 リリースにアップデートされました。この新リリースに含まれるハイライトは次の通りです:

Container runtimes

Docker

バージョン 20.10.21 に更新されました。このバージョンでは、多くのセキュリティ修正とバグ修正、ライブラリの修正が行われています。より詳細な変更の内容については、upstream のリリースノート を参照してください。

Containerd

バージョン 1.6.12 に更新されました。特に気にするべき変更点は次の通りです。

これらに加えて、いくつかのセキュリティ修正が行われています。変更点の完全なリストは、upstream のリリースページを参照してください。

Runc

バージョン 1.1.4 に更新されました。特に気にするべき変更点は次の通りです。

改善点とバグフィックスの完全なリストは、upstream のリリースページを参照してください。

Dnsmasq

新しいオプションが 2.86 から 2.89 へのアップグレードによって追加されました。これには --fast-dns-retry, --use-stale-cache, --conf-script, と --port-limit が含まれます。また、--nftset が nftables における -ipset に相当する機能として追加されました

Dpdk

DPDK の LTS リリースの年間リリースフローに基づき、Ubuntu 23.04 では最新の DPDK LTS (LTS ストリームにおける最新の stable リリース)である 22.11.1 を含んでいます。

このバージョンには複数の新しいデバイスドライバーが含まれ、多くの修正と最適化が行われています。リリースノートはかなり長大な分量になっていますが、しかしこれは 22.11 そのものについてのみ記載されています。 upstream の変更は年間3-4回のペースで行われており、以前採用されていた DPDK LTS 21.11 (Ubuntu 20.04、21.04、21.10に含まれていたもの)からの変更を確認する場合、22.03, 22.07も利用する必要があります。

この新バージョンの DPDK は、 riscv64 用もビルド済でパッケージとして利用できます。

Frr

frr はバージョン 8.4.2 に更新されました。これまで2回の Ubuntu のリリース(Jammy から)において 8.1 が維持されていました。この変更には多くのバグ修正と機能強化が含まれています。詳細の確認には、 upsterem のリリースノートを参照してください。https://github.com/FRRouting/frr/releases

HA/Clustering

Corosync

3.1.7 へ更新されています。このリリースでは knet_mtu 機能へ重要なバグ修正が提供されています(詳細は corosync.conf(5) を参照してください)。これ以外の情報については、upstream リリースノートを参照してください。

Fence Agents

4.12.1 へ更新されました。いくつかの修正と強化が複数のエージェントに対して行われています。詳細についてはupstream のリポジトリを参照してください。

haproxy

haproxy は upstream の新しい LTS シリーズである 2.6 にアップデートされました。多くの新機能とパフォーマンス強化がこのリリースには含まれます。詳細については、https://www.mail-archive.com/haproxy@formilux.org/msg42371.html にあるリリースアナウンスと、これに関連する blog post https://www.haproxy.com/blog/announcing-haproxy-2-6/ を参照してください。

Heimdal

今回採用されたリリース 7.8 では、Heimdal database (HDB) propagation 機能と、漸進的な変化点の送出機能、部分ライト、非同期 IO と関連する機能強化が行われています。

ISC Kea (DHCP server)

これまでは Kea Control Agent サービス (kea-ctrl-agent.service) は localhost (127.0.0.1:8000) 経由でパスワードレスで接続できていました (LP: #2007312)。これは、Kea サービスのシャットダウンや DHCP リースの管理、あるいは現在の設定のコピーなどの操作について、どのローカルユーザーでも行えたことを意味します。

バージョン 2.2.0-5ubuntu2 のパッケージでは(新規インストール・アップグレードの場合のいずれも)、 kea-api ユーザーのパスワードを入力するか、あるいはシステムが生成したランダムなものをセットすることが促されるようになります。ただし、デフォルトの動作(たとえば自動インストールの場合)では何も行いません。

    $ systemctl status kea-ctrl-agent.service
    ○ kea-ctrl-agent.service - Kea Control Agent
     Loaded: loaded (/lib/systemd/system/kea-ctrl-agent.service; enabled; preset: enabled)
     Active: inactive (dead)
    (...)
    2023-03-31T17:51:01.638484+00:00 l-kea-debconf systemd[1]: kea-ctrl-agent.service - Kea Control Agent was skipped because of an unmet condition check (ConditionFileNotEmpty=/etc/kea/kea-api-password).

この場合、 dpkg-reconfigure kea-ctrl-agent を実行することでパッケージインストール時に呼び出されるパスワード設定画面にアクセスすることができます。

Libvirt

libvirt の継続的なリリースである 9.0.0 が Ubuntu 23.04 では利用されています。多くの修正と機能強化、そして新機能が含まれています。具体的には:

Net SNMP

いくつかのセキュリティとバグの修正に加えて、Dockerのオーバーレイファイルシステムを検出するようになりました (LP: #2007856)。これは snmpwalk を Docker container に対して発行したような場合を想定しています。

Open vSwitch

バージョン 3.1.0 に更新され、通常の更新と以下のような変更を含みます。

OpenStack

Ubuntu 23.04 には、最新の OpenStack リリースである Antelope が利用されています。含まれるコンポーネントは次の通りです:

詳細は、OpenStack Antelope release notesを確認してください。

OpenStack Antelope は、Ubuntu Cloud Archive for OpenStack Antelope を通じて、Ubuntu 22.04 LTSのユーザーにも提供されます。Ubuntu Cloud Archive for OpenStack Antelope を有効にするには、次のコマンドを実行します。

> sudo add-apt-repository cloud-archive:antelope

警告: OpenStackデプロイメントをアップグレードすることは容易ではないプロセスであり、各OpenStackデプロイメント固有のアップグレード手順を計画し、テストを行うよう注意する必要があります。

もし Juju による OpenStack デプロイメントを利用している場合、OpenStack Charm Release Notesの記載も確認してください。

PostgreSQL 15

PostgreSQL は新しい PostgreSQL 15 リリースにアップデートされました。この新メジャーリリースでは、sort の性能強化、圧縮の機能強化、SQL MERGE コマンドのサポート、JSONロギングフォーマットのサポート(これにより構造化されたログシステムにログを送出することが可能になります)を含みます。

Qemu

Qemu はバージョン 7.2.0 にアップデートされ、大小の改善がおこなわれました。このバージョンには以下が含まれます。

Rclone

非常に機能が豊富で多用途なrcloneパッケージは、過去2回のUbuntuリリースではバージョン1.53に固定されていましたがアップデートされました。新しいバージョン1.60.1には、多くの新機能、バックエンド、バグフィックスが含まれています。1.60.1以前の変更点の詳細については、https://rclone.org/changelog/#v1-60-1-2022-11-17 にあるアップストリームのリリースノート群を確認してください。

Ruby 3.1

デフォルトの Ruby インタープリターがバージョン 3.1 にアップデートされました。 Ruby 3.0 と互換性を保ちつつ、新しい機能が追加されています。変更箇所についての概要は Ruby 3.1 リリースアナウンスから確認してください。

心に留めておくべき重要な点は、次の gem は標準ライブラリにバンドルされない点です:

複数のプロジェクトに影響する変更は Psych 4.0 がデフォルトで Psych.load から safe_load に変更されたことです。 Ruby 3.1 に移行する際は注意してください。

Samba

samba パッケージが 4.17.x シリーズにアップデートされました。アップストリームのリリースノートはこちらです: https://www.samba.org/samba/history/samba-4.17.0.html

これまでのリリースと比べて特別なのは、このシリーズではファイル操作のパフォーマンス改善があった点です。これは、以前、シンボリックリンク攻撃に対するセキュリティ修正により影響を受けていたものです。 Samba はディレクトリ名を検証する際にシステムコールの数を減らすようになり、また、以前であればいくつかのクライアントに大きなレイテンシーを発生させていた wakeup イベントも減りました。詳細は上にリンクしたリリースノートを確認してください。

SSSD

バージョン 2.8.0 で多数の新しい設定オプションが導入されました。その一覧は アップストリームのリリースノートから確認できます。

Subiquity

Subiquity 23.04.2 がリリースされました。完全な変更の詳細を確認するには、 GitHub 上の Subiquity 23.04.2 リリースノートを確認してください。

virglrenderer

0.9.1 から 0.10.4 にアップグレードされるなかで、 Vulkan サポートが実装されました。これにより特定のハードウェアでの 3D パフォーマンスの改善が約束されました。

プラットフォーム

Raspberry Pi 🍓

IBM Z および LinuxONE

Ubuntu Server 20.04 LTSから、最小アーキテクチャーレベルセットがz13(および、LinuxONE Rockhopper / Emperor)に引き上げられました。

これはUbuntu Server 23.04でも適用され、別途発表されるまでは、本日(23.04リリース日)時点でで利用されているすべての新しいハードウェアもサポート対象になります。将来的なハードウェアのサポートは、後に追加される可能性があります。 Ubuntu Server 23.04は、LPAR(クラシック、またはDPMシステム)、IBM z/VMゲスト、KVM仮想マシン、LXDや、docker、kubernetesなどの異なるコンテナ環境にインストールすることができます。

既知の問題

予想される通り、あらゆるリリースと同じように、今回のUbuntuリリースにもユーザーが陥りそうな重大な既知の不具合がいくつか存在します。現時点で判明している不具合(およびいくつかの回避策)をここに記録しておきます。これらの不具合については、再度報告する必要はありません。

全般

Linux カーネル

Ubuntu Desktop

Ubuntu Server

apt:
  fallback: offline-install

プラットフォーム

Cloud Images

ありません

Raspberry Pi

s390X

まだありません。

公式フレーバー

公式フレーバーの各リリースノートは、以下のリンクで参照できます:

より詳しい情報

バグレポート

あなたのコメントやバグレポート、レポートへのコメント・パッチの投稿・提案は、バグの修正や将来のリリース品質の改善につながります。ツールを用いてバグを報告してください。バグの修正を通じて貢献したいのであれば、Bug Squadページが役に立つでしょう。

リリース日に優先度がhigh、またはcriticalなCVEがあった場合はどうなりますか?

Server、Desktop、Cloudはリリース日に合わせてにリリースされる予定ですが、一部例外もあります。

万が一、リリース当日に優先度がcriticalまたはhighであるCVEが発表された場合、リリースチームは以下の対応策を行うことで合意しています:

これは、ubuntu-release メーリングリストにて2023年3月から4月にかけて議論されました。

また、このメーリングリストのスレッドでは、リリース前に優先度がhighまたはCriticalなCVEに対処するために、パッケージのアップデートや、セキュリティポケットにプッシュできない技術的またはポリシーによる理由がないことも確認されました。

Ubuntuに参加するには

Ubuntuを支援したいのであれば、以下の支援できる方法の一覧に目を通してみてください。

Ubuntuに関して

Ubuntuに関するより詳しい情報は、UbuntuのWebサイトを確認してください。

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LunarLobster/ReleaseNotes/Ja (last edited 2023-04-28 16:21:42 by kazken3)