Mantic Minotaurリリースノート

目次

イントロダクション

このリリースノートには、Ubuntu 23.10(Mantic Minotaur)のリリース概要とUbuntuとそのフレーバーに関する既知の不具合を記述しています。

サポート期間

Ubuntu 23.10 は2024年7月までの9ヶ月サポートされます。もしLong Term Support(長期サポート)版が必要な場合、Ubuntu 22.04 LTSを利用してください。

Ubuntu 23.10の新機能

更新されたパッケージ

Linux kernel 🐧

Ubuntu 23.10 は、多くの新しい機能を伴った新しい Linux Kernel 6.5 とともに提供されます。

特筆すべき upstream での変更は次の通りです:

Ubuntu独自での変更のうち、特筆すべきものは次の通りです:

systemd v251.5

init システムは systemd v251.5 に更新されました。より詳細な、各機能に関する情報は upstream changelog を確認してください。

Netplan v0.107

ネットワークスタックは Netplan v0.107 に更新されました。この更新により、 dummyveth デバイスのサポートと、python3-netplan パッケージに含まれる libnetplan が追加されています。

ツールチェインのアップグレード🛠️

OpenJDK

OpenJDK 17に加え、OpenJDK 21が提供されるようになりました(ただし、パッケージビルドには利用されません)。

.NET

.NET 7パッケージが7.0.110に更新され、.NET 6パッケージは6.0.121に更新されました。

golang

Goはバージョン1.21に更新されました。すべての変更点はアップストリームのリリースノートを参照してください。

セキュリティ対策の改善🔒

Ubuntu kernel は unprivileged user namespaces を利用する場合に、AppArmor プロファイルを持っていることを要求することができるようになりました(unprivileged_userns_restriction)。この制限は現時点ではデフォルトでは有効にされていませんが、有効にした場合、 unprivileged と unconfined を要求するシステム上の全てのプログラムが影響を受けるようになります。この制限は、サンドボックスを作成したり、あるいは特定の方式でコンテナを活用するワークロードに影響を及ぼします(LP: #2017980)。これは unprivileged user namespaces の利用に伴う攻撃界面の制御を目指す、最初のステップです。

この制限を有効にするには:

問題に遭遇した場合、いくつかの選択肢があります。

Ubuntuデスクトップ

インストーラーとアップグレード

New Store

GNOME 👣

更新されたUbuntu font

更新されたアプリケーション

更新されたサブシステム

Ubuntuサーバー

Apache2

apache2 は 2.4.55 から 2.4.57 に更新されました。BCTLSBNE RewriteRule フラグがmod_rewrite に追加され、セキュリティとバグの修正が行われています。

Django

Django は、3.2 から 最新の LTS リリースである 4.2 に更新されました。多くの新機能の追加と、バグ修正が行われています。Ubuntu に含まれる Django ミドルウェアはすべてこのバージョンと互換性がある状態になっています。このメジャーバージョン更新については、 4.0 release notes を参照してください。また、 LTS リリースに関する情報は 4.2 release notes を参照してください。

Dovecot

Dovecot は 2.3.19 から マイクロポイントリリース 2.3.20 に更新され、バグフィックスが行われました。新たに dsync_features=no-header-hashes 設定が追加されています。この設定は、同一の IMAP UID においては同一の中身を持つと仮定する最適化を提供します。この設定は、 Date/Message-ID ヘッダをキャッシュしない IMAP サーバーで役に立ちます。また、LUA による HTTP クライアント設定設定と、doveadm replicator status コマンドが提供されています。

Monitoring Plugins

monitoring-plugins は 2.3.2 から 2.3.3 へ更新されました。このバージョンでは新機能として PRId64 と PRIu64 が %ld を直接指定する方法の代わりに利用できます。バグ修正と機能強化については、release notes を参照してください。

Nginx

Nginx は 1.22 から 1.24 に更新されました。主にバグフィックスと、いくつかのマイナーな新機能と改良によって構成されています。詳細は upstream の changelog を参照してください。

Spamassassin

Spamassassin 4 には DMARC サポートが導入されました。ただし、この機能は Ubuntu の main リポジトリに含まれていない Perl モジュールに依存しているため、デフォルトでは有効になっていません。依存するパッケージはすべて universe リポジトリに収録されています。有効にする場合は、 Spamassassin に加えて libmail-dmarc-perl を手動でインストールし、 Spamassassin の設定を更新してください (LP: #2023971) 。

Docker

docker.io パッケージがバージョン 24.0.5 に更新されました。含まれる変更点は upstream の release notes を参照してください。また、Docker の CLI プラグインとして利用できる2つのパッケージが Ubuntu のアーカイブに収録されています。

NOTE: deprecated に分類されていた AUFS と legacy overlay storage drivers は削除されました。

Containerd

Containerd は 1.7.2 に更新されました。完全な変更点については upstream release notes を参照してください。

Runc

Runc は 1.1.7 に更新されました。完全な変更点については upstream release notes を参照してください。

Samba

samba パッケージは 4.18.x シリーズに更新されました。以下に upstream のリリースノートがあります。 https://www.samba.org/samba/history/samba-4.18.0.html

4.17.xと同様、4.18.xシリーズではファイルの open/close 操作のパフォーマンスが改善され、一連のセキュリティ修正によってパフォーマンスが影響が出る前、4.12 同等のレベルに戻っています。

この変更点や、他の変更点の詳細については、upstream のリリースノートを参照してください。

ISC Kea

ISC Kea DHCP server2.2.1 maintenance release にアップデートされました。この更新によりバグフィックスと幾つかの改善が行われています。詳細は、upstream の announcement を参照してください。

Ubuntu パッケージは Debian に由来しており、翻訳の更新・数リリース前に導入された AppArmor プロファイルの調整も反映されています。

QEMU

QEMU パッケージは 8.0.x シリーズに更新され、多くのバグ修正と新機能の投入が行われています。

詳細は、 upstream の changelogを参照してください。

libvirt

libvirt パッケージがバージョン 9.6.0 に更新されました。このリリースの主要な変更点は次の通りです。

詳細は、upstream の changelog を参照してください。

OpenLDAP

OpenLDAP はバージョン 2.6.6 に更新され、いくつかのバグ修正が行われています。詳細は、 upstream の changelog を参照してください。

sssd

sssd パッケージがバージョン 2.9.1 に更新されました。いくつかのバグ修正と新機能の追加が行われています。

詳細は、 upstream の changelog を参照してください。

Subiquity

新バージョンの Subiquity がリリースされました。GitHub 上の 21.10.1 の release notes を参照してください。

OpenStack

Ubuntu 23.10 には、最新の OpenStack リリースである 2023.2 Bobcat が利用されています。含まれるコンポーネントは次の通りです:

詳細は、 OpenStack 2023.2 Bobcat release notes を参照してください。

OpenStack 2023.2 Bobcat は、Ubuntu Cloud Archive を経由して Ubuntu 22.04 LTS にも提供されます。Ubuntu Cloud Archive for OpenStack 2023.2 Bobcat を有効にするには、次のコマンドを実行します:

警告: OpenStackデプロイメントをアップグレードすることは容易ではないプロセスであり、各OpenStackデプロイメント固有のアップグレード手順を計画し、テストを行うよう注意する必要があります。

もし Juju による OpenStack デプロイメントを利用している場合、Make sure you read the OpenStack Charm Release Notes の記載も確認してください。

Platforms

Public Cloud

全体

AWS EC2

aws: デフォルトのボリュームは GP2 から GP3 になりました。この変更の差分については、 https://docs.aws.amazon.com/AWSEC2/latest/UserGuide/ebs-volume-types.html にある詳細を参照してください。

Minimal download/qcow2 cloud images

Mantic Minotaur (Ubuntu 23.10) のイメージのうち、https://cloud-images.ubuntu.com/minimal/ にあるものは、2023年4月に行われた Lunar のリリースとは多くの部分が異なっています。

20230618 以降の変更点のうち、主なものは:

この結果:

Mantic Minotaur (Ubuntu 23.10) は開発リリースであり、これらの変更を行うには良いタイミングです。

上記の変更による問題点のレポート方法

もし期待に大きく反する変更やバグを発見した場合、新しいバグを cloud-images に作成してください。

Raspberry Pi 🍓

RISC-V

StarFive VisionFive 2

IBM Z and LinuxONE

さらに、セキュアゲスト用のEP11 API ordinal のサポート(LP: #2029390)と、PKEY_TYPE_EP11_AES型の鍵生成をサポート(LP: #2028937)するように、pkeyの領域が変更されました。

既知の問題

予想される通り、あらゆるリリースと同じように、今回のUbuntuリリースにもユーザーが陥りそうな重大な既知の不具合がいくつか存在します。現時点で判明している不具合(およびいくつかの回避策)をここに記録しておきます。これらの不具合については、再度報告する必要はありません。

全般

Linux kernel

Ubuntuデスクトップ

Ubuntuサーバー

ミラーにアクセスできない場合でも、いくつかの状況ではオフラインインストールを進めることを許容できる場合があります。このようなシナリオでは、以下を使用することが勧められます:

apt:
  fallback: offline-install

GRUB

mantic に含まれる GRUB 2.12 は UEFI HTTP ブートのサポートの不具合があります。 後続のパッケージアップデートで修正されることを想定しています。 Ubuntu 23.10 で提供されている netboot tarball にはこの機能が含まれていないため、UEFI HTTP ブートのサポートが必要なユーザーは代わりに Ubuntu 23.04 の netboot tarball を使うことを推奨します。

Platforms

Cloud Images

全体

この待ち受けを実行させないようにするための検討は、 https://bugs.launchpad.net/cloud-images/+bug/2038894 で行われています。

Microsoft Azure

ppcel64 images on cloud-images.ubuntu.com

Raspberry Pi

RISC-V

s390X

まだありません。

公式フレーバー

公式フレーバーのリリースノートは次のリンクから確認できます:

より詳しい情報

バグレポート

あなたのコメントやバグレポート、レポートへのコメント・パッチの投稿・提案は、バグの修正や将来のリリース品質の改善につながります。ツールを用いてバグを報告してください。バグの修正を通じて貢献したいのであれば、Bug Squadのページが役に立つでしょう。

リリース日に優先度がhighやcriticalのCVEが存在する場合はどうなりますか?

サーバーやデスクトップ、Cloudイメージはリリース日に合わせてにリリースされる予定ですが、一部例外もあります。

万が一、リリース当日に優先度がcriticalまたはhighであるCVEが発表された場合、リリースチームは以下の対応策を行うことで合意しています:

これは、ubuntu-releaseメーリングリストにて2023年3月から4月にかけて議論されました。

また、このメーリングリストのスレッドでは、リリース前に優先度がhighまたはCriticalなCVEに対処するために、パッケージのアップデートや、セキュリティポケットにプッシュできない技術的またはポリシーによる理由がないことも確認されました。

Ubuntuに参加するには

Ubuntuを支援したいのであれば、以下の支援できる方法の一覧に目を通してみてください: community.ubuntu.com/contribute

Ubuntuに関して

Ubuntuに関するより詳しい情報は、Ubuntuサイトを確認してください。

Ubuntuの開発に関するアナウンスを受け取るには、Ubuntu開発アナウンスメーリングリストを購読してください。

ManticMinotaur/ReleaseNotes/Ja (last edited 2023-11-02 13:55:54 by kazken3)