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共通インフラストラクチャ

Secure Boot

Ubuntu 12.10 は、これまで盛んに議論されたUEFI Secure Bootをサポートする初めてのUbuntuです。UEFI Secure Bootは、システムの起動時においてコンピューター上で動作するソフトウェアを制御するための、標準的な手法です。Secure Bootをサポートすることは、クライアント環境向けWindows 8認定プログラムの必須要件のひとつです。

Ubuntuは、こうしたハードウェア上で「そのまま動く」ことに力を注いでいます。 しかしながら、リリースまでの時間の制約により、12.10世代でSecure Bootハードウェアで動作するフレーバーは次のものに限られています:

  • Ubuntu desktop
  • Ubuntu server
  • Edubuntu

13.04では、これら以外の全フレーバーでも動作するでしょう。

Migration-supportの廃止

他のOS(訳注:Windowsや他のLinuxディストリビューション・以前にインストールされていたUbuntu)からUbuntuへのユーザーアカウントの移行を司るツール(migration-assistant) は、インストーラーから削除されました

Linux kernel 3.5.5

Ubuntu 12.10 “Quantal Quetzal”リリース版には、3.5.0-17.28 Ubuntu Linux kernelが導入されます。これはv3.5.5 Linux kernelを元にしています。Ubuntu 12.04 LTSの3.2.0-23.36 Ubuntu Linux kernelv3.2 Linux kernelベース)から更新されています。12.10世代のカーネルの注目すべき変更点は、次の通りです。

  • i386 generic-paeフレーバーは、genericフレーバーで置き換えられます。
  • virtualフレーバーは、genericフレーバーに統合されました。
  • linux-metaパッケージが統一されました。
  • “highbank” SoC(訳注:Calxeda EnergyCore)を搭載したARMサーバー用のカーネルフレーバーを追加しました。

  • デフォルトのスケジューラーを、cfqからdeadlineに変更しました。
  • 署名済みカーネルを生成するため、パッケージ方式を更新しました。

Python 3.2

Ubuntuのデスクトップ環境は、Python 2からPython 3への移行を進めています。デスクトップ環境に含まれる多くのPython製アプリケーションとそれらのライブラリは、多くがPython 3への対応を完了しています。たいていの場合、Python2用のものに相当するPython 3版ライブラリが準備されているはずです。すでに移植済みのアプリケーションは、Python 3上でのみ動作します。作業はUbuntu 13.04でも継続されます。

もしPython 2ベースのプログラムを開発している場合も、恐れる必要はありません。Python 2は、できる限り継続してサポートされます(python パッケージとして)。ただし、将来のバージョンのUbuntuでも利用できるようにするために、Python 3への移植を検討することをお勧めします。Python/3が移植作業の参考になるでしょう。

GNUツールチェイン

Ubuntu 12.10は、デフォルトのツールチェインに次の更新を加えています:GCC 4.7.2 (12.04 LTSではGCC 4.6)・binutilsとして2.23ブランチのスナップショット(12.04 LTSでは2.22)・eglibc 2.15・gdb 7.5。

より詳細な情報はupsteamのものを参照してください(GCC-4.7, gdb)。

Javaツールチェイン

Ubuntu 12.10は、OpenJDK7をデフォルトのJava実装として採用しています。これまでに比べて強化された性能と新機能、そして、他のJava7ベースの実装とのより高い互換性を備えています。

OpenJDK6は「deprecated」ステータスで、12.10ではuniverseに収録されている openjdk-6-* パッケージは、将来のUbuntuのリリースでは提供されなくなる予定です。

既知の不具合

インストール

  • Samsung製のノートPC(530U3C・NP700Z5C)において、UEFIモードに設定された状態でUbuntuのインストーラーを動作させると、ファームウェアのバグにより、結果としてマシンを起動不能に陥らせることがある、というレポートを受け取っています。この問題がUbuntu 12.10に真に再現するのか確認されるまでの間、該当するSamsung製ノートPCのユーザーがインストールを行う場合はUEFIモードを利用せず、レガシーBIOSモードに切り替えて利用してください。 (1040557)

  • これまでDesktop/Alternateの2タイプに分かれていたインストールメディアを統合しました。これにより、Alternate CDが提供していた一部のインストールオプションが利用できなくなっています。DesktopイメージはAlternate CDを完全に置き換えるものではありません。
    • Alternate CDを用いて、LVMやディスク全体の暗号化を設定してインストールしていた場合、Desktopイメージを使うことで代替できます。
    • LTSPインストールを行う場合、Ubuntu Server 12.10のイメージを用います。LTSPパッケージをインストール後に追加します。12.04 LTSのメディアを継続して用いてインストールし、12.10へアップグレードすることで対応することもできます。
    • ソフトウェアRAIDを用いたインストールには、幾つかの選択肢があります。:
  • Desktopイメージは、既存の暗号化(LUKS)ボリュームをアンロックすることができません。もし既存の暗号化ボリュームをパーティション構成時に必要とする場合は、「Ubuntuをインストールせずに試してみる」を起動画面で選択してライブセッションを開始し、暗号化ボリュームを開き(たとえば、UnityのLauncherからディスクを右クリックします)、パスワードを入力して暗号化を解除し、ウィンドウを閉じます。あらためて ubiquity を実行してインストーラーを実行してください。(1066480)

  • ARM OMAP4マシンでは、インストール時に、真っ暗な画面で起動してしまう可能性があります。この場合もシステムは正常に起動しています。この現象に遭遇したら、一度別のTTYに切り替えてからTTY7に戻ってくる必要があります。Ctrl+Alt+F1の同時押しをしてから、Alt+F7を押すことで、グラフィックが復帰します。(1065902)

  • Panda Board(ARM)を外部ストレージが接続されていない状態で利用すると、インストーラーのインターフェース部分が混乱した状態に陥り、まるでインストールに失敗したかのように見えます。Panda Boardを利用する場合、インストール時には外付けHDD等を接続しておくことをお勧めします。 (1053030)

  • Macに外付けディスプレイを接続していると、インストール後、二度目の再起動から「can not run in framebuffer mode error」というエラーに遭遇します。(1066883)

Kernel

  • Haswellプロセッサーの内蔵グラフィックのサポートは完全なものではありません。 (1066975)

  • 一部のシステムでは、(ノートPCの)フタを開けた時に、サスペンド/レジュームに失敗した旨のkernelloopsメッセージが表示されます。 (1054732)

  • AMDグラフィックチップを搭載した一部のASUSマシンでは、ディスプレイモードを変更するホットキーを押した際にWMIイベントとACPI割り込みが同時に送られることで、ディスプレイモードの変更が2回行われる結果となります。システム設定ディスプレイパネルを使ってディスプレイモードの変更を行う回避策があります。 (1052278)

  • ASUS N53SNラップトップでは、コマンドラインでnoefiを指定しないとカーネルが起動できません。 (1053897)

ネットワーク

  • 他のローカルで動作するネームサーバーパッケージとの互換性を確保するため、ネットワークマネージャーはこれまでの127.0.0.1を割り当てていたローカルネームサーバー用IPアドレスを127.0.1.1に割り当てるようになりました。システムの/etc/resolv.confが存在しない、またはデフォルトでインストールされる../run/resolvconf/resolv.confへのシンボリックリンクではなく静的ファイルだった場合、ネットワークマネージャー管理のネームサーバーを利用し続けるには、この静的ファイルを管理者に更新してもらう必要があります。

Libvirt

  • Windows VMはこれまで'vga'ビデオドライバーで動作していましたが、'cirrus'ビデオドライバーを使用する必要があります。

ツールチェイン

  • Python 2.7.3には、Pythonのdictsetの実装に影響するセキュリティ脆弱性への修正が含まれています。信頼できない入力をそのまま処理すると、計算リソースの過大消費やサービス停止状態(DoS)を引き起こすため、慎重に実装する必要があります。こうした攻撃への対処が必要な、たとえばCGIスクリプトのようなアプリケーションでは、この弱点を保護すために、"hash randomization"を明示的に有効にすることができます。この修正のもたらす実装の差により、古い2.7.xリリースで作成された「virtualenvs」は2.7.3で動作しないかもしれません。特にosモジュールはurandom関数が存在しないように見えるはずです。この問題は新しいPython 2.7.3のバージョンで、壊れたvirtualenvsを再作成することで解決することができます。詳細は http://bugs.python.org/issue13703 を確認してください。 (954595)

VMware Player

  • VMware Player 4と5を利用してUbuntu 12.10を動作させると、lsb_release に関するクラッシュレポートが生成されます。これは、 lsb_release コマンドがPython 3を利用するにもかかわらず、VMwareが構成する初期環境でPythonに関する設定をPython 2のものに書き換えてしまうためです。 (938869) これによるVMware Playerの動作上の影響は不明です。

ビデオドライバー

  • 一部のビデオドライバー(古いビデオチップ上で動作するもの)は、適切に機能しません。
    • xserver-xorg-video-trident(Trident Cyberbladeチップと組み合わせた場合)。画面が真っ暗になったり、ロックアップしたりします。Bugs

    • xserver-xorg-video-intel(i810チップセットと組み合わせた場合)。Segfaultします。 1060492

    • xserver-xorg-video-sis(315系ビデオ、具体的には、SiS 315/E/PRO・550・[M]650・651・740・[M]661[FMG]X・[M]741[GX]チップセットと組み合わせた場合)。画面が真っ暗になる、あるいはログイン画面をループします。1034812

  • 回避策
    • Live CD を用いて、お使いのハードウェアが適切に機能するか確かめてください。

    • Trident Cyberbladeの場合、vesaドライバーが正常に動作しません。回避策は12.04に留まるしかありません。
    • Intel i810の場合、(原文バグ:Alternate CDが存在しないにもかかわらず、install can only be accomplished from the Alternate ISO.と書いてある)。リカバリーモードでシステムを起動し、ビデオドライバーを削除するか、ブラックリストに入れます。必要であれば、再起動ののちに適切なxorg.confを作成するか、RandRを行い、解像度設定を行ってください。

    • SiS 315シリーズの場合、Intel i810と同じ対処を行ってください。

QuantalQuetzal/ReleaseNotes/ja/CommonInfrastructure (last edited 2012-10-21 19:50:10 by x022201)