Edubuntu 12.10の新機能

Edubuntuは、教育や子供向けのUbuntuのフレーバーで、Ubuntuをベースに家庭や教室で使用するための追加ソフトウェアを統合しています。

EdubuntuはUSBスティックにも変換可能なDVDイメージとして提供され、デフォルトでほとんどの言語をサポートしています。

Edubuntuアプリケーション

デスクトップインターフェース

  • アップデートマネージャーは最新版となり、「ソフトウェアの更新」に名前が変わりました。起動した時にアップデートの確認を行うようになります。さらに、アップデートマネージャーの一部であったリリースアップグレードは、それ自身がubuntu-release-upgraderという名前のパッケージとなりました
  • xserver 1.13候補版、mesa 9.0、そして、更新されたXライブラリとドライバーを含む、新しいXorgスタックが取り込まれました。新しいxserverは、改良されたMultiseatサポート、さらにスムースとなったスクロール、大量のバグフィックスを提供します。新しいバージョンのATIドライバーや、モニター設定でRANDRをサポートしたプロプライエタリのnvidiaドライバーもあります

  • UnityとCompizは、GLES命令だけをサポートするハードウェア上でも動作するようになりました。これにより、armelマシンの多くでもUnityが動作します
  • Unityは以下のサポートを含む、バージョン6.8に更新されました:
    • 「Unity Shopping Lens」経由でDashに商用コンテンツを提供する「さらに提案」カテゴリーが追加されました
    • Dashへの多くの修正と改良が行われました
    • Gnomeコントロールセンターパネル(システム設定)の「プライバシー」で、Dashが一切ネットワーク接続しないよう設定できるようになりました。
    • デフォルトで、LauncherにWebappsの追加が登録されています(AmazonやUbuntu One Music Storeが含まれます)
    • 新しいlibmessaging-menu apiを含む、indicator-messagesが更新されました(古いlibindicateライブラリーは廃止となりました)

    • BFB(Big Funny Button; 訳注:Launcherの一番上にあるUbuntuアイコンのボタン)とゴミ箱アイコンを除く、すべてのLauncher上にあるアイコンを取り除くことができるようになりました
    • リムーバブルストレージアイコンは、Launcherから登録を解除し、アイコンを表示しなくなる機能を追加しました
    • スプレッドモード(Super+W)において、ウィンドウ上にマウスカーソルを移動させた際に表示される閉じるボタンをクリックすることで、ウィンドウを閉じることができるようになりました
    • Gwibber LensはDash上でのプレビューをサポートするようになりました
    • ユーザーが対応サイトに訪れたとき、Webappsパッケージのダウンロードを行うかどうか尋ねるようになっています。
    • ファイルLensに追加されたアイコンは、ドラッグアンドドロップで(USBデバイスのような)ファイルシステムをLauncherに追加できるようになりました
    • ビデオLensのプレビューはリモートのAmazon Videoの詳細を表示するようになりました
    • Unityとunity-panelはアクセシビリティ向けにatk-bridgeをポーティングしました
  • アクセシビリティ機能はデフォルトでONとなりました
  • Ubuntu Mediumフォントが含まれるようになりました
  • ヘルプメニューに追加されていた、追加の"launchpad integration"メニューアイテムは、多くのユーザーにとって役に立たず、混乱のもととなっていたため削除されました
  • Login greeterが更新されました:
    • RDP経由でリモートデスクトップへのログインサポートを追加し、Ubuntuをシンクライアントとして簡単に利用できるようになりました
    • ネットワークの状態がトップパネルに表示されるようになりました
    • 全体的な見た目をリフレッシュしました。特に、長いユーザー名に対応するために空間を設け、セッション選択のデザインを更新しています。

デスクトップアプリケーション

  • LibreOfficeを3.6.2にアップデートしました。組み込みのメニューやHUDサポートに、個別のプラグインを必要としなくなりました。

  • GNOMEは、大部分が新バージョンである3.6に更新されました。 更新内容や改良点については、GNOME 3.6のリリースノートを参照してください。注目すべきものとしては以下があります。

    • Empathy: GNOMEのメッセージング、チャットアプリケーションの相手先一覧のデザインを整理しました。グループをデフォルトで無効にしました。また、よく連絡を取る相手先が、一覧のトップに位置するようになりました。
    • Disks: 追加の電源管理機能やベンチマーク機能の復活などを改良しました
  • FirefoxThunderbirdは、現時点での最新バージョン"16"に更新されました。

  • Jockeyは廃止となりました。「ソフトウェアソース」の「追加のドライバー」を用いてください。

共通インフラストラクチャ

Secure Boot

Ubuntu 12.10 は、これまで盛んに議論されたUEFI Secure Bootをサポートする初めてのUbuntuです。UEFI Secure Bootは、システムの起動時においてコンピューター上で動作するソフトウェアを制御するための、標準的な手法です。Secure Bootをサポートすることは、クライアント環境向けWindows 8認定プログラムの必須要件のひとつです。

Ubuntuは、こうしたハードウェア上で「そのまま動く」ことに力を注いでいます。 しかしながら、リリースまでの時間の制約により、12.10世代でSecure Bootハードウェアで動作するフレーバーは次のものに限られています:

  • Ubuntu desktop
  • Ubuntu server
  • Edubuntu

13.04では、これら以外の全フレーバーでも動作するでしょう。

Migration-supportの廃止

他のOS(訳注:Windowsや他のLinuxディストリビューション・以前にインストールされていたUbuntu)からUbuntuへのユーザーアカウントの移行を司るツール(migration-assistant) は、インストーラーから削除されました

Linux kernel 3.5.5

Ubuntu 12.10 “Quantal Quetzal”リリース版には、3.5.0-17.28 Ubuntu Linux kernelが導入されます。これはv3.5.5 Linux kernelを元にしています。Ubuntu 12.04 LTSの3.2.0-23.36 Ubuntu Linux kernelv3.2 Linux kernelベース)から更新されています。12.10世代のカーネルの注目すべき変更点は、次の通りです。

  • i386 generic-paeフレーバーは、genericフレーバーで置き換えられます。
  • virtualフレーバーは、genericフレーバーに統合されました。
  • linux-metaパッケージが統一されました。
  • “highbank” SoC(訳注:Calxeda EnergyCore)を搭載したARMサーバー用のカーネルフレーバーを追加しました。

  • デフォルトのスケジューラーを、cfqからdeadlineに変更しました。
  • 署名済みカーネルを生成するため、パッケージ方式を更新しました。

Python 3.2

Ubuntuのデスクトップ環境は、Python 2からPython 3への移行を進めています。デスクトップ環境に含まれる多くのPython製アプリケーションとそれらのライブラリは、多くがPython 3への対応を完了しています。たいていの場合、Python2用のものに相当するPython 3版ライブラリが準備されているはずです。すでに移植済みのアプリケーションは、Python 3上でのみ動作します。作業はUbuntu 13.04でも継続されます。

もしPython 2ベースのプログラムを開発している場合も、恐れる必要はありません。Python 2は、できる限り継続してサポートされます(python パッケージとして)。ただし、将来のバージョンのUbuntuでも利用できるようにするために、Python 3への移植を検討することをお勧めします。Python/3が移植作業の参考になるでしょう。

GNUツールチェイン

Ubuntu 12.10は、デフォルトのツールチェインに次の更新を加えています:GCC 4.7.2 (12.04 LTSではGCC 4.6)・binutilsとして2.23ブランチのスナップショット(12.04 LTSでは2.22)・eglibc 2.15・gdb 7.5。

より詳細な情報はupsteamのものを参照してください(GCC-4.7, gdb)。

Javaツールチェイン

Ubuntu 12.10は、OpenJDK7をデフォルトのJava実装として採用しています。これまでに比べて強化された性能と新機能、そして、他のJava7ベースの実装とのより高い互換性を備えています。

OpenJDK6は「deprecated」ステータスで、12.10ではuniverseに収録されている openjdk-6-* パッケージは、将来のUbuntuのリリースでは提供されなくなる予定です。

インストール

概要

Edubuntuのインストールをよりシンプルにする一方で、ディスク設定の選択肢を拡張しました。それぞれの操作の詳細説明を見直し、選択した操作の結果を、より分かりやすく把握できるようにしています。

EdubuntuのDVDインストーラーは、インターネットに接続されていれば、既存のEdubuntu環境をアップグレードしたり、再インストールすることができます。

ダウンロード

Edubuntu 12.10イメージは、以下からダウンロードできます。

システム要件

Edubuntu 12.10の最低メモリ要件は512MBですが、1024MBを強く推奨します。 注意:環境によっては、システム上のメモリがグラフィックカードによって専有されることがあります。システムに最低限のメモリしかない場合は、通常よりインストールに時間がかかる可能性があります。しかしながら、インストールが完了してしまれば通常通り利用できるでしょう。

メモリが1GB以下のコンピューターでは、i386イメージの使用を推奨します。これらのシステムでは、DVDのブートメニューから「Edubuntuをインストールする」オプションを使ってインストールすれば(「Edubuntuをインストールせずに試す」オプションと比較して)メモリを節約することができるため早く完了します。

Edubuntu 12.10をLTSPサーバーとして利用する場合は、クライアントごとに最低256MBのメモリを追加するよう計画すべきです。

Edubuntu 12.10のインストールイメージは、PAEをサポートしない古いコンピューターのためのサポートが含まれていません。

アップグレード

Edubuntu 12.04からのアップグレード

Edubuntu 12.04デスクトップ環境からアップグレードするには、Alt+F2を押して"update-manager -d"(引用符を除く)とコマンドボックスに入力します。アップデートマネージャーが開いて"新しいリリース '12.10'が利用可能です"と表示されます。"アップグレード"を押して画面上の説明に従ってください。

他のリリースバージョンからのアップグレード

12.04以外のEdubuntuからアップグレードするのであれば、まず最初に12.04にアップグレードしてください。

12.04へのアップグレードに関する説明は、Ubuntu Precise upgrade instructionsを参照してください。

既知の不具合

EdubuntuはUbuntuをベースとしており、多くのUbuntuの既知の不具合がEdubuntuにもあてはまります。Edubuntu固有の既知の不具合ならびに現時点でのUbuntuの既知の不具合については、以下の通りです。

Edubuntu固有の不具合

インストール

  • Samsung製のノートPC(530U3C・NP700Z5C)において、UEFIモードに設定された状態でUbuntuのインストーラーを動作させると、ファームウェアのバグにより、結果としてマシンを起動不能に陥らせることがある、というレポートを受け取っています。この問題がUbuntu 12.10に真に再現するのか確認されるまでの間、該当するSamsung製ノートPCのユーザーがインストールを行う場合はUEFIモードを利用せず、レガシーBIOSモードに切り替えて利用してください。 (1040557)

  • これまでDesktop/Alternateの2タイプに分かれていたインストールメディアを統合しました。これにより、Alternate CDが提供していた一部のインストールオプションが利用できなくなっています。DesktopイメージはAlternate CDを完全に置き換えるものではありません。
    • Alternate CDを用いて、LVMやディスク全体の暗号化を設定してインストールしていた場合、Desktopイメージを使うことで代替できます。
    • LTSPインストールを行う場合、Ubuntu Server 12.10のイメージを用います。LTSPパッケージをインストール後に追加します。12.04 LTSのメディアを継続して用いてインストールし、12.10へアップグレードすることで対応することもできます。
    • ソフトウェアRAIDを用いたインストールには、幾つかの選択肢があります。:
  • Desktopイメージは、既存の暗号化(LUKS)ボリュームをアンロックすることができません。もし既存の暗号化ボリュームをパーティション構成時に必要とする場合は、「Ubuntuをインストールせずに試してみる」を起動画面で選択してライブセッションを開始し、暗号化ボリュームを開き(たとえば、UnityのLauncherからディスクを右クリックします)、パスワードを入力して暗号化を解除し、ウィンドウを閉じます。あらためて ubiquity を実行してインストーラーを実行してください。(1066480)

  • ARM OMAP4マシンでは、インストール時に、真っ暗な画面で起動してしまう可能性があります。この場合もシステムは正常に起動しています。この現象に遭遇したら、一度別のTTYに切り替えてからTTY7に戻ってくる必要があります。Ctrl+Alt+F1の同時押しをしてから、Alt+F7を押すことで、グラフィックが復帰します。(1065902)

  • Panda Board(ARM)を外部ストレージが接続されていない状態で利用すると、インストーラーのインターフェース部分が混乱した状態に陥り、まるでインストールに失敗したかのように見えます。Panda Boardを利用する場合、インストール時には外付けHDD等を接続しておくことをお勧めします。 (1053030)

  • Macに外付けディスプレイを接続していると、インストール後、二度目の再起動から「can not run in framebuffer mode error」というエラーに遭遇します。(1066883)

Kernel

  • Haswellプロセッサーの内蔵グラフィックのサポートは完全なものではありません。 (1066975)

  • 一部のシステムでは、(ノートPCの)フタを開けた時に、サスペンド/レジュームに失敗した旨のkernelloopsメッセージが表示されます。 (1054732)

  • AMDグラフィックチップを搭載した一部のASUSマシンでは、ディスプレイモードを変更するホットキーを押した際にWMIイベントとACPI割り込みが同時に送られることで、ディスプレイモードの変更が2回行われる結果となります。システム設定ディスプレイパネルを使ってディスプレイモードの変更を行う回避策があります。 (1052278)

  • ASUS N53SNラップトップでは、コマンドラインでnoefiを指定しないとカーネルが起動できません。 (1053897)

ネットワーク

  • 他のローカルで動作するネームサーバーパッケージとの互換性を確保するため、ネットワークマネージャーはこれまでの127.0.0.1を割り当てていたローカルネームサーバー用IPアドレスを127.0.1.1に割り当てるようになりました。システムの/etc/resolv.confが存在しない、またはデフォルトでインストールされる../run/resolvconf/resolv.confへのシンボリックリンクではなく静的ファイルだった場合、ネットワークマネージャー管理のネームサーバーを利用し続けるには、この静的ファイルを管理者に更新してもらう必要があります。

Libvirt

  • Windows VMはこれまで'vga'ビデオドライバーで動作していましたが、'cirrus'ビデオドライバーを使用する必要があります。

ツールチェイン

  • Python 2.7.3には、Pythonのdictsetの実装に影響するセキュリティ脆弱性への修正が含まれています。信頼できない入力をそのまま処理すると、計算リソースの過大消費やサービス停止状態(DoS)を引き起こすため、慎重に実装する必要があります。こうした攻撃への対処が必要な、たとえばCGIスクリプトのようなアプリケーションでは、この弱点を保護すために、"hash randomization"を明示的に有効にすることができます。この修正のもたらす実装の差により、古い2.7.xリリースで作成された「virtualenvs」は2.7.3で動作しないかもしれません。特にosモジュールはurandom関数が存在しないように見えるはずです。この問題は新しいPython 2.7.3のバージョンで、壊れたvirtualenvsを再作成することで解決することができます。詳細は http://bugs.python.org/issue13703 を確認してください。 (954595)

VMware Player

  • VMware Player 4と5を利用してUbuntu 12.10を動作させると、lsb_release に関するクラッシュレポートが生成されます。これは、 lsb_release コマンドがPython 3を利用するにもかかわらず、VMwareが構成する初期環境でPythonに関する設定をPython 2のものに書き換えてしまうためです。 (938869) これによるVMware Playerの動作上の影響は不明です。

ビデオドライバー

  • 一部のビデオドライバー(古いビデオチップ上で動作するもの)は、適切に機能しません。
    • xserver-xorg-video-trident(Trident Cyberbladeチップと組み合わせた場合)。画面が真っ暗になったり、ロックアップしたりします。Bugs

    • xserver-xorg-video-intel(i810チップセットと組み合わせた場合)。Segfaultします。 1060492

    • xserver-xorg-video-sis(315系ビデオ、具体的には、SiS 315/E/PRO・550・[M]650・651・740・[M]661[FMG]X・[M]741[GX]チップセットと組み合わせた場合)。画面が真っ暗になる、あるいはログイン画面をループします。1034812

  • 回避策
    • Live CD を用いて、お使いのハードウェアが適切に機能するか確かめてください。

    • Trident Cyberbladeの場合、vesaドライバーが正常に動作しません。回避策は12.04に留まるしかありません。
    • Intel i810の場合、(原文バグ:Alternate CDが存在しないにもかかわらず、install can only be accomplished from the Alternate ISO.と書いてある)。リカバリーモードでシステムを起動し、ビデオドライバーを削除するか、ブラックリストに入れます。必要であれば、再起動ののちに適切なxorg.confを作成するか、RandRを行い、解像度設定を行ってください。

    • SiS 315シリーズの場合、Intel i810と同じ対処を行ってください。

サポート

QuantalQuetzal/ReleaseNotes/ja/Edubuntu (last edited 2012-10-21 09:56:14 by kazken3)