Ubuntu Serverの新機能

Ubuntu 12.10は最新のOpenstack、コードネームFolsomを含んだ形でリリースされています。また、MAASの強化と、最新のCephのLTSリリースArgonautを含んでいます。Cephは、きわめて高いスケーラビリティを持った、分散オブジェクトストレージです。

これらの技術により、Ubuntu Serverはスケールアウトコンピューティングにおいて、もっとも適切なOSのひとつとなっています。品質の確保もまた至上命題のひとつです。upstreamで行われるOpenStackのコミットを継続的インテグレーションの枠組みで自動配備・テストし、また、Ubuntu 12.04以降、すべてのEC2用クラウドイメージを自動テストしています。

OpenStack

MAAS

Juju

Java

仮想化

ストレージ

ネットワーク

ARMサポート

Configuration管理

Cloud Images

その他

共通インフラストラクチャ

Secure Boot

Ubuntu 12.10 は、これまで盛んに議論されたUEFI Secure Bootをサポートする初めてのUbuntuです。UEFI Secure Bootは、システムの起動時においてコンピューター上で動作するソフトウェアを制御するための、標準的な手法です。Secure Bootをサポートすることは、クライアント環境向けWindows 8認定プログラムの必須要件のひとつです。

Ubuntuは、こうしたハードウェア上で「そのまま動く」ことに力を注いでいます。 しかしながら、リリースまでの時間の制約により、12.10世代でSecure Bootハードウェアで動作するフレーバーは次のものに限られています:

  • Ubuntu desktop
  • Ubuntu server
  • Edubuntu

13.04では、これら以外の全フレーバーでも動作するでしょう。

Migration-supportの廃止

他のOS(訳注:Windowsや他のLinuxディストリビューション・以前にインストールされていたUbuntu)からUbuntuへのユーザーアカウントの移行を司るツール(migration-assistant) は、インストーラーから削除されました

Linux kernel 3.5.5

Ubuntu 12.10 “Quantal Quetzal”リリース版には、3.5.0-17.28 Ubuntu Linux kernelが導入されます。これはv3.5.5 Linux kernelを元にしています。Ubuntu 12.04 LTSの3.2.0-23.36 Ubuntu Linux kernelv3.2 Linux kernelベース)から更新されています。12.10世代のカーネルの注目すべき変更点は、次の通りです。

  • i386 generic-paeフレーバーは、genericフレーバーで置き換えられます。
  • virtualフレーバーは、genericフレーバーに統合されました。
  • linux-metaパッケージが統一されました。
  • “highbank” SoC(訳注:Calxeda EnergyCore)を搭載したARMサーバー用のカーネルフレーバーを追加しました。

  • デフォルトのスケジューラーを、cfqからdeadlineに変更しました。
  • 署名済みカーネルを生成するため、パッケージ方式を更新しました。

Python 3.2

Ubuntuのデスクトップ環境は、Python 2からPython 3への移行を進めています。デスクトップ環境に含まれる多くのPython製アプリケーションとそれらのライブラリは、多くがPython 3への対応を完了しています。たいていの場合、Python2用のものに相当するPython 3版ライブラリが準備されているはずです。すでに移植済みのアプリケーションは、Python 3上でのみ動作します。作業はUbuntu 13.04でも継続されます。

もしPython 2ベースのプログラムを開発している場合も、恐れる必要はありません。Python 2は、できる限り継続してサポートされます(python パッケージとして)。ただし、将来のバージョンのUbuntuでも利用できるようにするために、Python 3への移植を検討することをお勧めします。Python/3が移植作業の参考になるでしょう。

GNUツールチェイン

Ubuntu 12.10は、デフォルトのツールチェインに次の更新を加えています:GCC 4.7.2 (12.04 LTSではGCC 4.6)・binutilsとして2.23ブランチのスナップショット(12.04 LTSでは2.22)・eglibc 2.15・gdb 7.5。

より詳細な情報はupsteamのものを参照してください(GCC-4.7, gdb)。

Javaツールチェイン

Ubuntu 12.10は、OpenJDK7をデフォルトのJava実装として採用しています。これまでに比べて強化された性能と新機能、そして、他のJava7ベースの実装とのより高い互換性を備えています。

OpenJDK6は「deprecated」ステータスで、12.10ではuniverseに収録されている openjdk-6-* パッケージは、将来のUbuntuのリリースでは提供されなくなる予定です。

インストール

概要

Ubuntuのインストールをよりシンプルにする一方で、ディスク設定の選択肢を拡張しました。それぞれの操作の詳細説明を見直し、選択した操作の結果を、より分かりやすく把握できるようにしています。

ダウンロード

Ubuntu Server 12.10のイメージは、以下のURLにアクセスすることで、近くのサイトからダウンロードすることができます。

以下でもイメージが準備されています。

システム要件

ネットブート ARM サーバーイメージ

ARM のネットブートイメージを使うと、対応ハードウェアで Ubuntu Server をブートストラップすることができます。

それぞれ異なるコンピューターの種類に対応した 3 種類のイメージが用意されています。

この 3 種類のプラットフォームへのインストール手順の詳細は、ここにあります。

アップグレード

12.04から12.10

Ubuntu 12.04サーバー環境をアップグレードする場合、次の手順を用いてください。

  1. update-manager-coreパッケージをインストールします(まだインストールされていない場合)。

  2. sudo do-release-upgradeを実行し、アップグレードツールを起動します。

  3. 画面に表示される手順に基づいて作業します。

メモ: サーバーアップグレードはこれまでより安定し、GNU screenを用いて自動的に再アタッチすることで、たとえば回線が落ちたような場合にも作業を継続できるようになりました。

他のリリースからのアップグレード

Ubuntuの他のリリースバージョンを利用している場合、まず12.04にアップグレードしてから12.10にアップグレードしてください。

これら以外のより詳しい12.10に関する情報は、Quantal upgrade instructionsを参照してください。

既知の問題点

OpenStack

インストール

  • Samsung製のノートPC(530U3C・NP700Z5C)において、UEFIモードに設定された状態でUbuntuのインストーラーを動作させると、ファームウェアのバグにより、結果としてマシンを起動不能に陥らせることがある、というレポートを受け取っています。この問題がUbuntu 12.10に真に再現するのか確認されるまでの間、該当するSamsung製ノートPCのユーザーがインストールを行う場合はUEFIモードを利用せず、レガシーBIOSモードに切り替えて利用してください。 (1040557)

  • これまでDesktop/Alternateの2タイプに分かれていたインストールメディアを統合しました。これにより、Alternate CDが提供していた一部のインストールオプションが利用できなくなっています。DesktopイメージはAlternate CDを完全に置き換えるものではありません。
    • Alternate CDを用いて、LVMやディスク全体の暗号化を設定してインストールしていた場合、Desktopイメージを使うことで代替できます。
    • LTSPインストールを行う場合、Ubuntu Server 12.10のイメージを用います。LTSPパッケージをインストール後に追加します。12.04 LTSのメディアを継続して用いてインストールし、12.10へアップグレードすることで対応することもできます。
    • ソフトウェアRAIDを用いたインストールには、幾つかの選択肢があります。:
  • Desktopイメージは、既存の暗号化(LUKS)ボリュームをアンロックすることができません。もし既存の暗号化ボリュームをパーティション構成時に必要とする場合は、「Ubuntuをインストールせずに試してみる」を起動画面で選択してライブセッションを開始し、暗号化ボリュームを開き(たとえば、UnityのLauncherからディスクを右クリックします)、パスワードを入力して暗号化を解除し、ウィンドウを閉じます。あらためて ubiquity を実行してインストーラーを実行してください。(1066480)

  • ARM OMAP4マシンでは、インストール時に、真っ暗な画面で起動してしまう可能性があります。この場合もシステムは正常に起動しています。この現象に遭遇したら、一度別のTTYに切り替えてからTTY7に戻ってくる必要があります。Ctrl+Alt+F1の同時押しをしてから、Alt+F7を押すことで、グラフィックが復帰します。(1065902)

  • Panda Board(ARM)を外部ストレージが接続されていない状態で利用すると、インストーラーのインターフェース部分が混乱した状態に陥り、まるでインストールに失敗したかのように見えます。Panda Boardを利用する場合、インストール時には外付けHDD等を接続しておくことをお勧めします。 (1053030)

  • Macに外付けディスプレイを接続していると、インストール後、二度目の再起動から「can not run in framebuffer mode error」というエラーに遭遇します。(1066883)

Kernel

  • Haswellプロセッサーの内蔵グラフィックのサポートは完全なものではありません。 (1066975)

  • 一部のシステムでは、(ノートPCの)フタを開けた時に、サスペンド/レジュームに失敗した旨のkernelloopsメッセージが表示されます。 (1054732)

  • AMDグラフィックチップを搭載した一部のASUSマシンでは、ディスプレイモードを変更するホットキーを押した際にWMIイベントとACPI割り込みが同時に送られることで、ディスプレイモードの変更が2回行われる結果となります。システム設定ディスプレイパネルを使ってディスプレイモードの変更を行う回避策があります。 (1052278)

  • ASUS N53SNラップトップでは、コマンドラインでnoefiを指定しないとカーネルが起動できません。 (1053897)

ネットワーク

  • 他のローカルで動作するネームサーバーパッケージとの互換性を確保するため、ネットワークマネージャーはこれまでの127.0.0.1を割り当てていたローカルネームサーバー用IPアドレスを127.0.1.1に割り当てるようになりました。システムの/etc/resolv.confが存在しない、またはデフォルトでインストールされる../run/resolvconf/resolv.confへのシンボリックリンクではなく静的ファイルだった場合、ネットワークマネージャー管理のネームサーバーを利用し続けるには、この静的ファイルを管理者に更新してもらう必要があります。

Libvirt

  • Windows VMはこれまで'vga'ビデオドライバーで動作していましたが、'cirrus'ビデオドライバーを使用する必要があります。

ツールチェイン

  • Python 2.7.3には、Pythonのdictsetの実装に影響するセキュリティ脆弱性への修正が含まれています。信頼できない入力をそのまま処理すると、計算リソースの過大消費やサービス停止状態(DoS)を引き起こすため、慎重に実装する必要があります。こうした攻撃への対処が必要な、たとえばCGIスクリプトのようなアプリケーションでは、この弱点を保護すために、"hash randomization"を明示的に有効にすることができます。この修正のもたらす実装の差により、古い2.7.xリリースで作成された「virtualenvs」は2.7.3で動作しないかもしれません。特にosモジュールはurandom関数が存在しないように見えるはずです。この問題は新しいPython 2.7.3のバージョンで、壊れたvirtualenvsを再作成することで解決することができます。詳細は http://bugs.python.org/issue13703 を確認してください。 (954595)

MAAS

その他

サポート

QuantalQuetzal/ReleaseNotes/ja/UbuntuServer (last edited 2012-10-21 19:56:10 by x022201)