UbuntuServer
Contents |
Ubuntu Serverの新機能
12.04(コードネーム「Precise Pangolin」)は、デプロイ機能と安定性、そして品質に注力したリリースです。
Ubuntu 12.04は最新版のOpenStackリリース、コードネーム「Essex」とともに提供され、さらにMAASと呼ばれる新機能を含んでいます。さらに、CharmStoreにより、JujuのCharmを集中型の管理システムからデプロイできるようになります。また、PPAからテスト用に新技術「AWSOME」が提供されます。
これらの技術は、Ubuntu Serverを「スケールアウト型コンピューティングにおける最良のOS」として躍進させる原動力となるでしょう。品質もまた、継続的インテグレーションの中で注力された要素の一つです。自動デプロイとテストにより、アップストリームのOpenStackにおけるソースコードの更新に追従し、そして、Amazon EC2のAMIを用い、LucidからPreciseへの更新についても自動テストを行いました。
OpenStack
OpenStackプロジェクトはEssexのファイナルリリースまでの間に、次の機能を更新しました。
- /bin/falseをnovaユーザーのデフォルト状態で利用するようになりました(アップグレード時に自動的に行われます)。
新しいバイナリパッケージ。イメージの復号にはnova-certを用いるようになり、M2Cryptoは必須要件から削除されました。
- Quantumは、quantumとquantumクライアントパッケージに分割されました。
- Glanceは、新しい設定ファイル構造を採用しました。
- novaパッケージは、nova-rootwrapをデフォルトで利用するようになりました。これにより、より適切なセキュリティレイヤーを構成できます。
- openstackxは、horizonから削除されました。
- ajaxconsoleは削除され、VNCベースのものに変更になりました。
- ex2 admin APIは差k所されました。
- Quantum、Melange、Novaのネットワークモデルが統合されました。
- 多くのOSAPI拡張が追加されました。
- euca-upload-bundleがkeystoneと連携できるようになりました。
OpenStackコンポーネントを、Jujuを用いてデプロイできるようになりました。
KeystoneがKeystone-lightredux(ブランチ)に更新されました。Keystone-lightはこのサイクルで新たに書き起こされたもので、Oneiric(11.10)で利用されていたアップストリームの実装を置き換えるものです。
- Glanceは、アップグレード後に手動でのデータベースマイグレションが必要になりました。
OpenStackのデフォルトインストールでは、デフォルトでは「安全なネットワーク」で動かすことを期待しています。多くのコンポーネントはHTTP(非SSL)で通信を行ます。もしセキュリティ的な懸念がある場合は、インストール後の設定変更で変更できます。
MAAS
Metal as a Service(MAAS)は、クラウド的な作法を物理サーバーに持ち込むものです。これはハードウェアをそのまま用いて、いろいろなサービスを簡単にデプロイし、スケールアップやスケールダウンを動的に行えるようにします。
AWSOME
AWSOME (“Any Web Service over Me”)は、Amazon EC2とほとんど同じIAAS APIをOpenStackにもたらすものです。これにより、AmazonであれOpenStackクラウドであれ区別なく、クラウドサービスを容易にデプロイできるようになります。
Juju
Juju CharmStore が利用できるようになりました。これにより、ローカルマシンにCharmを配置せずともCharmによるサービスをデプロイできるようになりました。
Subordinate Servicesにより、異なるサービスのunitをひとつのコンテナ上に配置して、互いの情報を共有することができます。
Machine Constraintsにより、ハードウェアを選択した上で、サービスをデプロイすることができるようになりました。
Java
Apache Tomcat 7.0.26がuniverseに追加されました。一方で、12.04でのサポートバージョンは6.0.35です。
- 12.10では6系に代わって、Tomcat 7がサポートバージョンになる予定です。
Apache ActiveMQ 5.5.0がuniverseに追加されました。
Jenkins 1.424.6 LTSがuniverseに追加されました。
OpenJDK 7 (Oracle Java 7にきわめて近いもの)がuniverseに追加されました。
- 12.10では、OpenJDK 7がデフォルトのJava実装になる予定です。
Groovy 1.8.6がuniverseに追加されました。
Scala 2.9.1がuniverseに追加されました。
Clojure 1.1.0がuniverseに追加されました。
Virtualisation
Xenが公式サポート対象に追加されました。
- Xenによる仮想化ホスト(dom0)としてUbuntuを実行できます。
LibvirtのXen対応が追加され、libvirtやlibvirtを用いるフロントエンドから各ドメインを管理できます。
- HVMモードによるゲストインストールにおいて、最適化されたparavirtドライバが「そのまま」の状態で動作します。
LXCに以下の機能強化を行いました。
- 12.04イメージをそのままコンテナ内でブートできるようになりました。
AppArmorによる保護により、セキュリティが向上しました。
- lvm-とbtrfs-backedコンテナをサポートするようになりました。
- ubuntu-cloudテンプレートを用いて、容易にUbuntu Cloud Imageをベースにしたコンテナを作ることも可能になりました。
KVM (version 1.0)とLibvirtの強化により、以下が追加されます。
- QED (Qemu enhanced disk format)のサポート
- AHCIプロトコルのサポート
- AMDマシンに加えて、IntelマシンでのNested KVM Guestのサポート
- libvirt経由での、suspend/resumeを行うAPIの追加
- libvirtによる、STPとVLANフィルタの追加
- libvirtによる、Bandwidth QoSの追加
- CPUの帯域制限の追加
File System
CEPHクライアントライブラリであるlibrdb、libradosが追加され、KVM上での利用がサポートされます。
- CIFSがファイルシステムキャッシュをサポートするようになり、性能が強化されました。
- Software RAID(MD)が、バッドブロックマネジメントをサポートするようになりました。
ARM Support
OpenMPI 1.5のARM向けパッケージがuniverseに追加されました。 (889644)
- openmpi 1.5はARMサポートが強化されたものです。これはアップストリームではベータ版であり、既存のopenmpiパッケージを置き換えるものではなく、このバージョンを利用したいユーザーに向けて、openmpi1.5パッケージとして追加されます。
その他
Query2が、新しいメタデータサービスとして追加されます。当初はUbuntu Cloud Imageの確認と、その可用性確認のために用います。この新しいメタデータサービスは、十分な情報と、機械的に読み込み可能なJSONフォーマットファイルを提供し、現時点で利用可能なcloud-images.ubuntu.comと、パブリッククラウドで利用可能な公式なUbuntuイメージ(当初はAmazon EC2のみ)の確認に用いられます。
新しいZentyalパッケージ群がuniverseに追加されました。
これらのパッケージはUbuntu 11.10で利用できた既存のeboxパッケージ群のリネーム版であり、新しいアップストリームリリースでもあります。
Resaraがuniverseに追加されました。Samba4をベースにした、オープンソースのLinux用ドメインコントローラです。
- acpidがサーバーイメージ・クラウドイメージの双方でデフォルトで導入されるようになりました。
Chef 0.8.16 (948437)とOhaiパッケージ(948438) が12.04からOpsCodeの要請に基づき削除されました。
Eucalyptus 2.0.1 (953405)は、Eucalyptus社の要望により削除されました。
共通インフラストラクチャ
- Ubuntu 11.10までの「管理者」ユーザーは、「admin」Unixグループに所属することでsudo権限を付与されていました。12.04では、「管理者」ユーザーは「sudo」グループによって権限を付与します。これは、Ubuntuをアップストリームの実装やDebianに合わせたものです。互換性を維持するため、12.04では「admin」グループに所属していればsudoによる管理者特権アクセスが可能なままです。
ハイバネート(suspend to disk)は、デフォルトでは無効になっています。これは、安定性の問題が見つかったことと、非常に遅いこと、そして二種類のサスペンドモードによって混乱が引き起こされるためです。812394 も参照してください。ハイバネートを有効にしたい場合、この手順を用いてください。
- pm-utilsパッケージに、新しく2種類のスクリプトが追加されました。バッテリー駆動時に、USBと、さまざまなPCIデバイスの消費電力を下げるためのものです。多くのデスクトップパッケージがこの挙動を妨害しないようにあわせて改良され、消費電力を低減させています。これにより、バッテリー駆動時間の向上が得られるでしょう。
すべてのUbuntuシステムにおいて、resolvconfによって/etc/resolv.confが管理されるようになります。より詳細な情報はこちらで得られます。
- Backportsリポジトリが、これまでより容易に利用できるようになりました。これを用いることで、新しいバージョンへのアップグレードを簡単に行うことができます。Ubuntu Backportsリポジトリはデフォルトで有効になっています。ただし、Backports由来のパッケージは暗黙ではインストールされません。パッケージ管理ソフトウェアから明示的にBackports由来のソフトウェアを指定する必要があります。一度Backportsに含まれるバージョンを導入すると、以降はBackportsからより新しいバージョンのソフトウェアが自動的に導入されるようになります。
- DVDイメージ。DVDイメージの整理により、おおむね1.5GB程度の容量に縮小されました。DVDに含まれないソフトウェアは、ダウンロードによって入手できます。
Linux v3.2.14 Kernel
Ubuntu 12.04 LTSは、メインラインカーネルv3.0系から、v3.2系に更新されました。リリース時点では3.2.0-23.36カーネルが採用されています。このカーネルはアップストリームのv3.2.14 stable Linux kernelをベースにしています。メインラインカーネルv3.0からv3.2の間に、多くの新機能が追加されました。主要な点は次の通りです。
- ext4ファイルシステムが、より大きなブロックサイズをサポートします。
- btrfsファイルシステムに、データの完全性問題を改善するための改良が加わります。
- device mapperに、シンプロビジョニング機能と再帰的スナップショット機能が加わります。
- 大きなライトバック負荷が発生した場合のパフォーマンスが改善されます。
- 輻輳が生じているネットワークにおけるパフォーマンスが改善されます。
- ext3ファイルシステム上での移動操作が、ファイルシステムバリアを利用したものになります。
- メモリアロケータに改良が加わります。
- VFSのスケーラビリティが強化されます。
- iSCSIの実装が新しいものになります。
- Software RAIDの実装に、バッドブロック対応が追加されます。
11.10で採用されているUbuntuカーネル3.0.0-12.20からの更新点は、次の通りです。
アップストリームのstable Linux kernel v3.2.14をベースとしています。
amd64環境において、-genericと-serverカーネルフレーバーがマージされ、単一の -generic カーネルフレーバーになりました。これらのカーネル間にはわずかな差がありますが、LTSにおける長期間のサポート負荷から、統合を選択しています。
- サポート対象に、新しい armhf カーネルフレーバーを追加しています。
非SMP PowerPCカーネルフレーバーは削除されました。これまで非SMP PowerPCカーネルフレーバーがサポートしていたハードウェアは、SMP PowerPCカーネルフレーバーによってサポートされます。
SandyBridgeシステムでは、RC6省電力機能がデフォルトで有効になります。RC6はGPUがアイドル状態のときに大きく消費電力を引き下げる技術です(0Wにまで下げられます)。これにより、RC6モードが機能している際は大きく電力を節約できます。アイドル時の消費電力を比較した場合、RC6を利用しないときに比べて、40〜60%の改善が見られました。
jack detectionパッチセットを適用しています。これはv3.3系Linuxカーネルからバックポートされたものです。
アップデートされたAppArmorパッチセットを適用しています。アップストリームに追加された、align調整を含みます。
seccomp filter機能を追加し、有効にしています。これにより機械的な(BPFによる)パケットフィルタリングにより、システムコールへのアクセスを制限できます。
v3.3-rc1カーネル由来の、ARM向けkexecの修正をバックポートしています。
「extensive review of Ubuntu kernel configs」で、これまでとの変更点を確認することができるでしょう。
Upstart 1.5
Upstartをバージョン1.5に更新しました。より詳細な情報が、Upstart Technical Overview(未訳)にあります。
GNU Toolchain
Ubuntu 12.04には、デフォルトのtoolchainとしてGCC 4.6.3 (Linaro GCC 4.6-2012.02の修正を追加したもの)、binutils 2.22、eglibc 2.15とLinaro gdb 7.4-2012.04が含まれます。
11.10と比較した場合、toolchainはマイナーバージョンの変更とバグフィックスだけが追加されています。10.04 LTSと比較した場合、GCCのアップデートが含まれます。
- より良い標準をサポートするため、フロントエンド実装が更新されています(次の実装を含みます。Ada 2012、Objective-C 2.0、ISO C++ standardに基づくC++0x(実験的サポート)、Fortran 2003と2008、Go)。
- 最適化が強化されました。inter-procedural optimizationsと、link time optimization (LTO)の強化を含みます。
より詳細な情報は、アップストリームの情報を参照してください(GCC-4.6, GCC-4.5, binutils, gas, ld, gdb)。
Python Toolchain
Ubuntu 12.04にはPython 2.7.3 とPython 3.2.3が含まれます。Python 2.6はインストールできなくなりました。
- Python 3系に対するより強力なサポートを提供しています。次のソフトウェアはPython 3系をベースとしています。python-dbus, python-feedparser, germinate, lazr.ui, wadllib, python-defer, python-keyring, python-qt4。これ以外にもPython 3系列に移植されたソフトウェアを含みます。
Java Toolchain
Javaのデフォルトランタイムは、OpenJDK 6b24 (IcedTea 1.11.1)です。OpenJDK 7u3 (IcedTea 2.1)を追加パッケージとして導入することもできます。
インストール
概要
Ubuntuの導入は、よりシンプルになる一方で、ディスク設定の選択肢を拡張しています。それぞれの操作の詳細説明を見直し、選択した操作の結果を、より分かりやすく把握できるようにしています。
ダウンロード
Ubuntu Server 12.04のイメージは、以下のURLにアクセスすることで、近くのサイトからダウンロードすることができます。
以下にもイメージが準備されています。
http://releases.ubuntu.com/12.04/ (Ubuntu Server)
http://cdimage.ubuntu.com/releases/12.04/ (プリインストール版ARM imageとソース)
http://cdimage.ubuntu.com/netboot/12.04/ (Ubuntu Netboot)
システム要求
- Ubuntu Server 12.04は、最低でも128MBのメモリを必要とします。
- i386イメージは、最大でも16GBメモリ、そして最大でも8コアの環境で利用することを推奨します(訳注:それを超える場合はamd64イメージを利用してください)。
アップグレード
11.10から12.04
Ubuntu 11.10サーバー環境をアップグレードする場合、次の手順を用いてください。
update-manager-coreパッケージをインストールします(まだインストールされていない場合)。
sudo do-release-upgradeを実行し、アップグレードツールを起動します。
- 画面に表示される手順に基づいて作業します。
メモ: サーバーアップグレードはこれまでより安定し、GNU screenを用いて自動的に再アタッチすることで、たとえば回線が落ちたような場合にも作業を継続できるようになりました。
10.04から12.04
たいていの場合、10.04 LTSのユーザーは最初のポイントリリース(7月)を待ってアップグレードした方が良いでしょう。
Ubuntu 10.04 LTSのサーバー環境からのアップグレードは、次の手順で行います。
- Ubuntu 10.04の最新状態にアップデートします。
sudo apt-get update
sudo apt-get upgrade
- update-manager-coreをインストールします(まだインストールされていない場合)。
sudo apt-get install update-manager-core
- /etc/update-manager/release-upgradesを編集し、「Prompt=lts」をセットします。メモ: 最小限の/etc/update-manager/release-upgradesは、次のようになるでしょう。
[DEFAULT] Prompt=lts
- アップグレードツールを起動します。
sudo do-release-upgrade -d
- 画面に表示される手順に基づいて作業します。
アップグレードプロセスが終了すると、再起動が必要になります。このとき、新しいカーネルで起動する必要があります。アップグレードを実施するシステムのコンソールにアクセスする方法がない場合、/boot/grub/menu.lstを編集し、デフォルトで起動するカーネルを12.04のものにする必要があります。この手順を飛ばしてしまうと、10.04 LTSのカーネルで起動し、そのままシステムがハングアップしてしまいます。
注意:Ubuntu Enterpries Cloud環境をアップグレードする場合、10.04に含まれていたEucalyptusは12.04では含まれなくなります。これは、アップグレードパスが存在しないことを意味します。10.04を使い続けるか、あるいはOpenStackベースのUbuntu Cloud Infrastructureに移行することを推奨します。
他のリリースからのアップグレード
Ubuntuの他のリリースバージョンを利用している場合、まず11.10にアップグレードしてから12.04にアップグレードしてください。
これら以外のより詳しい12.04に関する情報は、Precise upgrade instructionsを参照してください。
既知の問題点
起動とインストール・インストール直後の問題
[Dell Studio XPS 1340,Alienware m17x]において、ブート時にite-cirドライバーがロードされたタイミングでカーネルパニックに伴うハングアップが生じます。パッチはアップストリームにすでに送られており、テスト用のカーネルがバグレポートから参照できます。12.04のリリース後、可能な限り早い時期に precise-updates リポジトリに修正したカーネルを提供する予定です。 (984387)
- 「Unibody」を採用したMacbookにおいて、液晶を閉じると画面との干渉でタッチパッド操作が入力されてしまいます。これにより、タッチパッドジェスチャやクリックが誤って生じたり、そのままサスペンドに入ることで、入力ドライバーの状態が期待しない状態に陥る可能性があります。この問題へのワークアラウンドとして、復帰時点で次の操作を行い、カーネルモジュールを一度アンロードし、再度読み込ませてください。
$ sudo rmmod bcm5974 $ sudo modprobe bcm5974
注意:これにより、タッチパッドオプションのいくつかの機能が無効になります。たとえば水平スクロールが該当します。これらのオプションは、「マウスとタッチパッド」設定画面を開くことで回復します。この問題には、リリース後のアップデートで対処予定です。 (968845)
いくつかのケースで、Windowsユーザーアカウントのインポートが失敗することがあります。 (987902)
- Wubi (Windows向けUbuntuインストーラー) は、Ubuntu Desktop/DVDには含まれなくなり、かわりに単体でダウンロードして利用するようになりました。
アップグレード
aptitudeは64bit環境では、/etc/dpkg/dpkg.cfg.d/multiarch でMultiarch機能を無効にしないと動作しません。 (831768)
amd64アーキテクチャのUbuntu 11.10環境でi386パッケージを導入していた場合、アップグレードの前に oneiric-updates リポジトリから更新された apt と dpkg パッケージを導入しておくことを強く推奨します。これらのパッケージは、multiarch環境で発生するさまざまな問題を解決します。 (850264, 902603)
いくつかのケースで、update-managerがハングアップしているようにしか見えないことがあります。こうした場合、ウインドウ下部の「広げる」ボタンをクリックして端末表示を展開し、端末上で表示されているdebconfへの応答を行なってください。 (979661)
Alternete CDやServer CDをパッケージリポジトリとして用いた場合、Ubuntu 10.04 LTSから12.04 LTSへのアップグレードに失敗します。Ubuntu 10.04 LTSのユーザーは、7月に予定されている12.04.1 LTSポイントリリースまでアップグレードを待つことをおすすめします。 (988941)
12.04.2の追加事項/日本語訳版独自の項目
仮想化環境でUbuntuを利用している場合(特に仮想化ソフトウェアが提供するアクセラレーション機能を持った追加ドライバを導入している場合)、アップグレードを行う前に[https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-jp/2013-March/004317.html メーリングリストで報告された現象]を確認し、問題が起きても対処できるようにしてください。なおこの現象は、未確認ではありますが12.04.2以前の12.04系列でも類似した現象が発生した報告があり、12.04.2以前の12.04でも発生する可能性があります。
Kernel
ARM omapイメージにおいて、Beagle XM boardのネットワークサポートが機能していません。(838200)
[Dell Studio XPS 1340,Alienware m17x]において、ブート時にite-cirドライバーがロードされたタイミングでカーネルパニックに伴うハングアップが生じます。パッチはアップストリームにすでに送られており、テスト用のカーネルがバグレポートから参照できます。12.04のリリース後、可能な限り早い時期に precise-updates リポジトリに修正したカーネルを提供する予定です。 (984387)
Asus製ノートPC K53Uに搭載された、Sentelic touchpadが機能しません。パッチはバックポート済みで、12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。(969334)
Broadcom製bluetoothデバイスBCM20702A0([0489:e042])に対応していません。パッチはアップストリームにすでに送られており、12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。(980965)
comediドライバーにバッファオーバーフロー問題が含まれます。パッチはすでにアップストリームからバックポートされており、テストカーネルがバグレポートから参照できます。12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。 (981234)
Intel製 gma 4500mhd ドライバーを利用している環境では、外付けモニターに正しく画像が表示されません。パッチはすでにアップストリームからバックポートされており、12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。 (796030)
12.04上でNFSクライアントを利用している場合、「Kernel Oops - BUG: unable to handle kernel paging request; RIP: nfs_have_delegation+0x9/0x40 [nfs].」が生じることがあります。テスト用のカーネルがバグレポートから参照できます。パッチはすでにアップストリームからバックポートされており、12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。 (974664)
アップストリームのv3.2.15とv3.2.16のパッチは、最初のカーネルパッケージのSRUには間に合わないため、precise-proposed リポジトリから提供する予定です。これらは、12.04のリリースから約3週間のちに precise-updates リポジトリからアップデートできるようになるでしょう。 (981162, 987337)
hid-logitech-djドライバーがインストーラーに含まれていません。すでにd-iのinput-modules udebに追加されたので、12.04.1のポイントリリースではインストーラーに含まれる予定です。 (975198)
rtl8187ドライバーがインストーラーに含まれていません。すでにd-iのnic-usb-modules udebに追加されたので、12.04.1のポイントリリースではインストーラーに含まれる予定です。 (971719)
eGalaxisのタッチスクリーンドライバーが動作しません。パッチはすでにアップストリームからバックポートされており、テストカーネルがバグレポートから参照できます。12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。 (913164)
PowerPC上のATI/radeonフレームバッファはモジュールとして提供されるのみで、カーネルには埋め込まれていません。このため、コマンドプロンプトの起動時にttyコンソールが表示できなかったり、サスペンドに失敗したりします。これらのモジュールを埋め込むためのパッチはすでに適用済みで、12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。 (949288)
ATI Radeon 9200グラフィックスカードを使っているシステムの場合、起動すると黒画面になってしまいます。ブートローダーで、カーネルのコマンドラインに「nomodeset」を追加することで回避可能です。 (725580)
Fujitsu Siemens Amilo M 7400とMaxdata 7000DXのRF killスイッチは無線機能をうまく無効化できず、カーネルパニックを引き起こします。カーネルコマンドラインに「noexec=off」を追加することで回避可能です。 (979253)
Beagle XMシステムは1GHzで動作可能であっても、800MHzで初期化されてしまうために、パフォーマンスが低下します。 (771537)
一部のEFIシステムでは、EFIでの起動に失敗します。その場合は、BIOSモードを使用してください。 (721576)
アプリケーション
- Squid: squid(v2)はsquid3パッケージによって置き換えられました。リポジトリに存在するsquidパッケージは、squid3への移行パッケージとして提供され、squid3にアップグレードされます。いくつかの設定オプションがサポートされなくなるため、手動で設定ファイルの書き換え・移行が必要になります。既存のsquid.confは/etc/squid/squid.confにアップグレード後も保存されています。squid 3.1.19のリリースノートを確認し、サポートされているオプションや記法について確認してください。
ネットワークインターフェースでボンディングを利用しているユーザーは、アップグレード後、ボンディングされたインターフェースが起動時にレースコンディションに陥り、通信できなくなります。これはネットワーク越しのアップグレード時に問題となるでしょう。 (974218)
サポート期間
- 5年間(Long Term Support)
PrecisePangolin/ReleaseNotes/ja/UbuntuServer (last edited 2012-04-30 05:03:40 by cosmos-door)