Xubuntu
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Xubuntu 12.04 の新機能
今回の Xubuntu リリースでの新機能あるいは変更点は、以下のとおりです。
- i386 イメージでは、非 PAE カーネルを使っています。非 PAE カーネルは、将来の Xubuntu リリースでは提供されなくなる予定です。
- デフォルトのショートカットキーが、いくつか変更、追加、削除されました。以下の「新しいデフォルトのショートカットキー」に、変更点の一覧があります。
- 新しいブランディングと壁紙や、Greybird, Ubiquity, Plymouth, LightDM, Terminal のテーマ修正をはじめ、外観が大きく改善されました。
- xfce4-power-manager, Ristretto, gmusicbrowser をはじめとした、Debian およびアップストリームからの同期、更新、パッチをおこないました。
- xfdesktop4 がアップデートされ、シングルクリックでのオープンおよびデスクトップのサムネイルに対応しました。
- xfce4-settings がアップデートされ、新たにマウスとタッチパッドのダイアログが含まれました。
Xubuntu についてもっとよく知りたければ、web サイト xubuntu.org を見て回ってください。
Xubuntu アプリケーション
- xfce4-mixer は Pulseaudio に対応していないため、かわりに Pavucontrol が使われています。
- Alacarte メニューエディターがデフォルトでインストールされ、Xfce 関連のメニュー項目の編集ができます。
共通インフラストラクチャ
- Ubuntu 11.10までの「管理者」ユーザーは、「admin」Unixグループに所属することでsudo権限を付与されていました。12.04では、「管理者」ユーザーは「sudo」グループによって権限を付与します。これは、Ubuntuをアップストリームの実装やDebianに合わせたものです。互換性を維持するため、12.04では「admin」グループに所属していればsudoによる管理者特権アクセスが可能なままです。
ハイバネート(suspend to disk)は、デフォルトでは無効になっています。これは、安定性の問題が見つかったことと、非常に遅いこと、そして二種類のサスペンドモードによって混乱が引き起こされるためです。812394 も参照してください。ハイバネートを有効にしたい場合、この手順を用いてください。
- pm-utilsパッケージに、新しく2種類のスクリプトが追加されました。バッテリー駆動時に、USBと、さまざまなPCIデバイスの消費電力を下げるためのものです。多くのデスクトップパッケージがこの挙動を妨害しないようにあわせて改良され、消費電力を低減させています。これにより、バッテリー駆動時間の向上が得られるでしょう。
すべてのUbuntuシステムにおいて、resolvconfによって/etc/resolv.confが管理されるようになります。より詳細な情報はこちらで得られます。
- Backportsリポジトリが、これまでより容易に利用できるようになりました。これを用いることで、新しいバージョンへのアップグレードを簡単に行うことができます。Ubuntu Backportsリポジトリはデフォルトで有効になっています。ただし、Backports由来のパッケージは暗黙ではインストールされません。パッケージ管理ソフトウェアから明示的にBackports由来のソフトウェアを指定する必要があります。一度Backportsに含まれるバージョンを導入すると、以降はBackportsからより新しいバージョンのソフトウェアが自動的に導入されるようになります。
- DVDイメージ。DVDイメージの整理により、おおむね1.5GB程度の容量に縮小されました。DVDに含まれないソフトウェアは、ダウンロードによって入手できます。
Linux v3.2.14 Kernel
Ubuntu 12.04 LTSは、メインラインカーネルv3.0系から、v3.2系に更新されました。リリース時点では3.2.0-23.36カーネルが採用されています。このカーネルはアップストリームのv3.2.14 stable Linux kernelをベースにしています。メインラインカーネルv3.0からv3.2の間に、多くの新機能が追加されました。主要な点は次の通りです。
- ext4ファイルシステムが、より大きなブロックサイズをサポートします。
- btrfsファイルシステムに、データの完全性問題を改善するための改良が加わります。
- device mapperに、シンプロビジョニング機能と再帰的スナップショット機能が加わります。
- 大きなライトバック負荷が発生した場合のパフォーマンスが改善されます。
- 輻輳が生じているネットワークにおけるパフォーマンスが改善されます。
- ext3ファイルシステム上での移動操作が、ファイルシステムバリアを利用したものになります。
- メモリアロケータに改良が加わります。
- VFSのスケーラビリティが強化されます。
- iSCSIの実装が新しいものになります。
- Software RAIDの実装に、バッドブロック対応が追加されます。
11.10で採用されているUbuntuカーネル3.0.0-12.20からの更新点は、次の通りです。
アップストリームのstable Linux kernel v3.2.14をベースとしています。
amd64環境において、-genericと-serverカーネルフレーバーがマージされ、単一の -generic カーネルフレーバーになりました。これらのカーネル間にはわずかな差がありますが、LTSにおける長期間のサポート負荷から、統合を選択しています。
- サポート対象に、新しい armhf カーネルフレーバーを追加しています。
非SMP PowerPCカーネルフレーバーは削除されました。これまで非SMP PowerPCカーネルフレーバーがサポートしていたハードウェアは、SMP PowerPCカーネルフレーバーによってサポートされます。
SandyBridgeシステムでは、RC6省電力機能がデフォルトで有効になります。RC6はGPUがアイドル状態のときに大きく消費電力を引き下げる技術です(0Wにまで下げられます)。これにより、RC6モードが機能している際は大きく電力を節約できます。アイドル時の消費電力を比較した場合、RC6を利用しないときに比べて、40〜60%の改善が見られました。
jack detectionパッチセットを適用しています。これはv3.3系Linuxカーネルからバックポートされたものです。
アップデートされたAppArmorパッチセットを適用しています。アップストリームに追加された、align調整を含みます。
seccomp filter機能を追加し、有効にしています。これにより機械的な(BPFによる)パケットフィルタリングにより、システムコールへのアクセスを制限できます。
v3.3-rc1カーネル由来の、ARM向けkexecの修正をバックポートしています。
「extensive review of Ubuntu kernel configs」で、これまでとの変更点を確認することができるでしょう。
Upstart 1.5
Upstartをバージョン1.5に更新しました。より詳細な情報が、Upstart Technical Overview(未訳)にあります。
GNU Toolchain
Ubuntu 12.04には、デフォルトのtoolchainとしてGCC 4.6.3 (Linaro GCC 4.6-2012.02の修正を追加したもの)、binutils 2.22、eglibc 2.15とLinaro gdb 7.4-2012.04が含まれます。
11.10と比較した場合、toolchainはマイナーバージョンの変更とバグフィックスだけが追加されています。10.04 LTSと比較した場合、GCCのアップデートが含まれます。
- より良い標準をサポートするため、フロントエンド実装が更新されています(次の実装を含みます。Ada 2012、Objective-C 2.0、ISO C++ standardに基づくC++0x(実験的サポート)、Fortran 2003と2008、Go)。
- 最適化が強化されました。inter-procedural optimizationsと、link time optimization (LTO)の強化を含みます。
より詳細な情報は、アップストリームの情報を参照してください(GCC-4.6, GCC-4.5, binutils, gas, ld, gdb)。
Python Toolchain
Ubuntu 12.04にはPython 2.7.3 とPython 3.2.3が含まれます。Python 2.6はインストールできなくなりました。
- Python 3系に対するより強力なサポートを提供しています。次のソフトウェアはPython 3系をベースとしています。python-dbus, python-feedparser, germinate, lazr.ui, wadllib, python-defer, python-keyring, python-qt4。これ以外にもPython 3系列に移植されたソフトウェアを含みます。
Java Toolchain
Javaのデフォルトランタイムは、OpenJDK 6b24 (IcedTea 1.11.1)です。OpenJDK 7u3 (IcedTea 2.1)を追加パッケージとして導入することもできます。
新しいデフォルトのショートカットキー
ウィンドウマネージャーの新たなショートカットキーは、以下のとおりです:
Alt F5, ウィンドウを水平方向に最大化
Alt F6, ウィンドウを垂直方向に最大化
Alt F7, ウィンドウを水平および垂直方向に最大化
Alt F8, ウィンドウを (すべてのワークスペースに現れるよう) 固定する
ウィンドウの移動やサイズ変更のためのショートカットは削除され、より強力なマウスジェスチャーが採用されました。もちろん、これらのショートカットが必要な方は、設定マネージャ » ウィンドウマネージャ » キーボード タブから使えるようにすることができます。
アプリケーション用の新たなショートカットは、以下のとおりです。
Super W は Firefox (Web と覚える)
Super M は Thunderbird (Mail と覚える)
Super F は Thunar (Files と覚える)
Super T は Terminal
これらのショートカットは、exo-open ランチャーに関連づけられたものです。つまり、デフォルトとして設定しておいたブラウザー、メールリーダー、ファイルマネージャー、端末エミュレーターを常に開くということです。
その他の新たなアプリケーションショートカットキーは、以下のとおりです。
Super R は Application finder (Run と覚える)
Super E は Leafpad (Editor と覚える)
Super 1 Gmusicbrowser
Super 2 Pidgin
Super 3 Abiword
Super 4 Gnumeric
インストール
概要
Xubuntuのインストールを、よりシンプルにする一方で、ディスク設定の選択肢を拡張しました。それぞれの操作の詳細説明を見直し、選択した操作の結果を、より分かりやすく把握できるようにしています。
XubuntuのDesktop CDから起動されるインストーラーは、インターネットに接続されていれば、既存のXubuntu環境をアップグレードしたり、あるいは再インストールしたりすることができます。
ダウンロード
Xubuntu 12.04 イメージは、以下からダウンロードできます。
システム要求
Xubuntu で要求される最小限のシステムは、大雑把にいえば Ubuntu Server と Desktop の中間となります。
- 512 MiB のシステムメモリー (RAM)
- 5 GB のディスク容量
- 800x600 の解像度が扱えるグラフィックカードとモニター
アップグレード
Xubuntu 11.10からのアップグレード
アップデートマネージャーの GUI を使って 11.10 Xubuntu にアップデートできます (Ubuntu と表示されますが、Xubuntu のアップデートをしてくれます)。あるいは、端末を起動して、以下のように入力します。sudo do-release-upgrade
既知の問題
グラフィックスおよびディスプレイ
アプリケーション
ショートカットキー
ショートカットの処理方法が変更されたため、アップグレードすると Control キーを使ったショートカットが使えなくなります。これを直すには、Control キーを使ったショートカットをすべて更新する必要があります。設定マネージャ » キーボード » アプリケーションショートカットキー タブで、<Control> のついたショートカットの列をダブルクリックしてから (同じ) キーの組合せを押してください。これにより、<Control> の部分が <Primary> に変更されて、ショートカットが以前同様に機能するようになります。これとは別に、キーボードショートカットの設定をいったんデフォルトに戻してから、独自のショートカットを追加しなおすという方法もあります。
- これ以外のキーボードショートカットについても同様の問題が起きる方があるかもしれません。これを直すには、キーボードショートカットの設定を一度デフォルトに戻してから、独自のショートカットを追加しなおす必要があります。
起動とインストール・インストール直後の問題
[Dell Studio XPS 1340,Alienware m17x]において、ブート時にite-cirドライバーがロードされたタイミングでカーネルパニックに伴うハングアップが生じます。パッチはアップストリームにすでに送られており、テスト用のカーネルがバグレポートから参照できます。12.04のリリース後、可能な限り早い時期に precise-updates リポジトリに修正したカーネルを提供する予定です。 (984387)
- 「Unibody」を採用したMacbookにおいて、液晶を閉じると画面との干渉でタッチパッド操作が入力されてしまいます。これにより、タッチパッドジェスチャやクリックが誤って生じたり、そのままサスペンドに入ることで、入力ドライバーの状態が期待しない状態に陥る可能性があります。この問題へのワークアラウンドとして、復帰時点で次の操作を行い、カーネルモジュールを一度アンロードし、再度読み込ませてください。
$ sudo rmmod bcm5974 $ sudo modprobe bcm5974
注意:これにより、タッチパッドオプションのいくつかの機能が無効になります。たとえば水平スクロールが該当します。これらのオプションは、「マウスとタッチパッド」設定画面を開くことで回復します。この問題には、リリース後のアップデートで対処予定です。 (968845)
いくつかのケースで、Windowsユーザーアカウントのインポートが失敗することがあります。 (987902)
- Wubi (Windows向けUbuntuインストーラー) は、Ubuntu Desktop/DVDには含まれなくなり、かわりに単体でダウンロードして利用するようになりました。
アップグレード
aptitudeは64bit環境では、/etc/dpkg/dpkg.cfg.d/multiarch でMultiarch機能を無効にしないと動作しません。 (831768)
amd64アーキテクチャのUbuntu 11.10環境でi386パッケージを導入していた場合、アップグレードの前に oneiric-updates リポジトリから更新された apt と dpkg パッケージを導入しておくことを強く推奨します。これらのパッケージは、multiarch環境で発生するさまざまな問題を解決します。 (850264, 902603)
いくつかのケースで、update-managerがハングアップしているようにしか見えないことがあります。こうした場合、ウインドウ下部の「広げる」ボタンをクリックして端末表示を展開し、端末上で表示されているdebconfへの応答を行なってください。 (979661)
Alternete CDやServer CDをパッケージリポジトリとして用いた場合、Ubuntu 10.04 LTSから12.04 LTSへのアップグレードに失敗します。Ubuntu 10.04 LTSのユーザーは、7月に予定されている12.04.1 LTSポイントリリースまでアップグレードを待つことをおすすめします。 (988941)
12.04.2の追加事項/日本語訳版独自の項目
仮想化環境でUbuntuを利用している場合(特に仮想化ソフトウェアが提供するアクセラレーション機能を持った追加ドライバを導入している場合)、アップグレードを行う前に[https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-jp/2013-March/004317.html メーリングリストで報告された現象]を確認し、問題が起きても対処できるようにしてください。なおこの現象は、未確認ではありますが12.04.2以前の12.04系列でも類似した現象が発生した報告があり、12.04.2以前の12.04でも発生する可能性があります。
Kernel
ARM omapイメージにおいて、Beagle XM boardのネットワークサポートが機能していません。(838200)
[Dell Studio XPS 1340,Alienware m17x]において、ブート時にite-cirドライバーがロードされたタイミングでカーネルパニックに伴うハングアップが生じます。パッチはアップストリームにすでに送られており、テスト用のカーネルがバグレポートから参照できます。12.04のリリース後、可能な限り早い時期に precise-updates リポジトリに修正したカーネルを提供する予定です。 (984387)
Asus製ノートPC K53Uに搭載された、Sentelic touchpadが機能しません。パッチはバックポート済みで、12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。(969334)
Broadcom製bluetoothデバイスBCM20702A0([0489:e042])に対応していません。パッチはアップストリームにすでに送られており、12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。(980965)
comediドライバーにバッファオーバーフロー問題が含まれます。パッチはすでにアップストリームからバックポートされており、テストカーネルがバグレポートから参照できます。12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。 (981234)
Intel製 gma 4500mhd ドライバーを利用している環境では、外付けモニターに正しく画像が表示されません。パッチはすでにアップストリームからバックポートされており、12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。 (796030)
12.04上でNFSクライアントを利用している場合、「Kernel Oops - BUG: unable to handle kernel paging request; RIP: nfs_have_delegation+0x9/0x40 [nfs].」が生じることがあります。テスト用のカーネルがバグレポートから参照できます。パッチはすでにアップストリームからバックポートされており、12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。 (974664)
アップストリームのv3.2.15とv3.2.16のパッチは、最初のカーネルパッケージのSRUには間に合わないため、precise-proposed リポジトリから提供する予定です。これらは、12.04のリリースから約3週間のちに precise-updates リポジトリからアップデートできるようになるでしょう。 (981162, 987337)
hid-logitech-djドライバーがインストーラーに含まれていません。すでにd-iのinput-modules udebに追加されたので、12.04.1のポイントリリースではインストーラーに含まれる予定です。 (975198)
rtl8187ドライバーがインストーラーに含まれていません。すでにd-iのnic-usb-modules udebに追加されたので、12.04.1のポイントリリースではインストーラーに含まれる予定です。 (971719)
eGalaxisのタッチスクリーンドライバーが動作しません。パッチはすでにアップストリームからバックポートされており、テストカーネルがバグレポートから参照できます。12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。 (913164)
PowerPC上のATI/radeonフレームバッファはモジュールとして提供されるのみで、カーネルには埋め込まれていません。このため、コマンドプロンプトの起動時にttyコンソールが表示できなかったり、サスペンドに失敗したりします。これらのモジュールを埋め込むためのパッチはすでに適用済みで、12.04のリリース後、できるだけ早い時期に precise-updates リポジトリにアップデートされたカーネルを提供する予定です。 (949288)
ATI Radeon 9200グラフィックスカードを使っているシステムの場合、起動すると黒画面になってしまいます。ブートローダーで、カーネルのコマンドラインに「nomodeset」を追加することで回避可能です。 (725580)
Fujitsu Siemens Amilo M 7400とMaxdata 7000DXのRF killスイッチは無線機能をうまく無効化できず、カーネルパニックを引き起こします。カーネルコマンドラインに「noexec=off」を追加することで回避可能です。 (979253)
Beagle XMシステムは1GHzで動作可能であっても、800MHzで初期化されてしまうために、パフォーマンスが低下します。 (771537)
一部のEFIシステムでは、EFIでの起動に失敗します。その場合は、BIOSモードを使用してください。 (721576)
サポート
Xubuntu 12.04 は長期サポート版 (LTS) であり、Xubuntu LTS 計画にもとづき 3 年間サポートされます。
サポートに関してどのような助けが得られるかはXubuntu web サイトの Help セクションにすべて列挙してありますので、参照してください。
PrecisePangolin/ReleaseNotes/ja/Xubuntu (last edited 2012-04-26 21:40:17 by pl663)